森永製菓は2026年3月3日、人とペットが同じおやつを一緒に楽しむ食体験を提案する「ひととペットプロジェクト」の第1弾商品として、「ミニムーンライト」「アイスボックス」などを(全7品、356~537円※編集部調べ)を発売する。同社は、成長するペット市場の中で新規市場を開拓する狙いから、創業126年の歴史で初めてとなるこれら商品を開発。公式ECサイトを中心に、一部ECや首都圏の一部スーパー、コンビニエンスストア、ペット専門店、ホームセンターなどに展開する。初年度の売上高は1億円(食品原料「パセノール」を含む新規事業で)を目指す。

鈴木聡子 森永製菓新規事業開発部ひととペットプロジェクトリーダー

同社は、「125年以上、人の笑顔をつくりたいとお菓子に向き合い続けてきた」(鈴木聡子 森永製菓新規事業開発部ひととペットプロジェクトリーダー)中で、「私たちが生みたい、つなぎたい笑顔の対象にペットが加わるのはごく自然なことだった」とペット市場参入の狙いを語った。背景にあるのは、日本だけでなくペット先進国の米国でペットをわが子のように考える「ペットヒューマニゼーション」の広がりだ。「ペットが幸せなら、飼い主も笑う。そんな新しい世界を生み出したい。それが商品開発の原点」と強調する。人と犬が一緒に分けて食べられるおやつを提供することで「一緒だからもっとおいしく、楽しく、健やかになれる世界」の実現を掲げる。

一方で、開発は順風満帆ではなかった。「菓子は食品区分だが、ペットフードは雑貨区分。食品と雑貨の法解釈の壁や、油脂量や砂糖量など成分量で犬の健康に配慮する必要があった」。ペットフードと食品、双方の法律を遵守し、食品工場での製造を決めた。森永乳業のペットフード子会社である森乳サンワールドと連携し、ペットフードの知見と森永製菓の食品開発技術を融合。さらに犬の健康データ分析に基づく商品設計については、ペット保険会社のアニコム損害保険の協力を得て商品化を実現した。

また、「本当に犬のためになるのか。結局人間のエゴではないか」という根本的な問いに向き合うため、動物行動学の第一人者である増田宏司 東京農業大学 農学部 動物科学科 教授/獣医師・博士(獣医学)と共同で検証を実施した。増田教授は、「人と動物が同じものを食べることにタブー視があり、かなり覚悟がいる挑戦だと思った。しかし、飼い主や愛犬にとって、同じものを食べることで心理的な満足感や幸福感が高まる可能性が示唆された」と報告。森永製菓が実施する飼い主への定量調査でも、コンセプトに対し85%が好意的に回答したという。「私たちの思いは独りよがりではなかった。その事実が大きな原動力になった」(鈴木プロジェクトリーダー)と振り返った。

商品ラインアップは、「ミニムーンライト with ドッグ」(34グラム、356円※編集部調べ)、「ワンゼリースティックwith ドッグ」(全2種、各15グラム×5本、各537円 同)、「ワンゼリーパウチ with ドッグ」(全2種、各120グラム、各378円 同)、「アイスボックス with ドッグ」(127ミリリットル、432円 同)、「冷凍ホットケーキ with ドッグ」(114グラム、540円)の全7品で、現状販売しているアイテムを兼用商品にアレンジした。

 

「単なる新商品ではない」太田会長が語るパーパス

愛犬のののちゃんを抱く太田栄二郎森永製菓代表取締役会長 CEO

太田栄二郎森永製菓代表取締役会長 CEOは、「世代を超えて愛されるすこやかな食を創造し続け、世界の人々の笑顔を未来につなぎます」という同社のパーパスを挙げ、「人だけにとらわれない形での健やかな食の創造。食を共有することで人もペットも笑顔になれることは、まさにパーパスの体現」と位置付ける。「これは単なる新商品の発売ではない。人とペットの関係性をより深く幸せなものへ進化させるための新しい提案だ」と強調した。当面は犬向けの商材に注力する。

また、森永製菓グループは2030年にウェルネスカンパニーへ生まれ変わることを明言した。「実はこれまで営業利益が20億円、30億円で留まっており、創業115年を超えた2016年3月期に初めて営業利益が100億円を突破した。しかしさらに成長、進化をしないと永続的な企業でいられない」と危機感を示した。そのため、「これまでもココアや甘酒など商品軸でウェルネスを訴求してきたが、今後は心・体・環境の健康まで視野を広げる」と述べ、事業ポートフォリオの転換を加速する考えを示した。