エステーの2022年3月期の連結決算は、売上高が454億6900万円、営業利益が32億2100万円、経常利益が34億5200万円、親会社に帰属する当期純利益が11億5100万円だった。今期から「収益認識に関する会計基準」が適用されるため単純比較はできないが、前期に新基準を適応したと仮定した増減率は、売上高が0.9%減、営業利益が3.9%減、経常利益が5.6%減、親会社に帰属する当期純利益が53.4%減と実質、減収減益となる。緊急事態宣言下での活動抑制からは少しずつ活動が戻り販売費および一般管理費が増加、マーケティング費用を戦略的に投下したこと、減損損失を特別損失に計上したことなどが影響した。

売上高をカテゴリー別に見ると、主力のエアケア(消臭芳香剤)は、「消臭力 Premium Aroma」シリーズや「消臭力トイレ用」が堅調に推移した他、「消臭力DEOX」シリーズのラインアップを追加し、199億8300万円(前期に新基準を適応したと仮定した増減率約1.0%増)となった。衣類ケア(防虫剤)は、リニューアルにより「ムシューダ」シリーズを強化していく中、シートタイプを新たに拡売したが、21年の巣ごもりでの衣替え需要が落ち着き、82億1300万円(同1.0%減)となった。

サーモケア(カイロ)は、「オンパックス」のパッケージを刷新し、ブランド認知度を高めていく他、「On Style」シリーズは冷えに悩む女性をターゲットにした取り組みを進めたが、市場環境が厳しく、43億6300万円(同10.0%増)。ハンドケア(手袋)は、21年に値上げした販売価格の改定を進めたが、衛生意識の高まりによる需要が落ち着き、58億3400万円(同12.0%減)となった。

湿気ケア(除湿剤)は、環境対応の訴求を強めている他、高付加価値品へシフトしていく中で低粗利品を縮小し、28億4500万円(同10.0%減)。ホームケア(その他)は、「洗浄力」や「米唐番」が堅調に推移した他、「洗浄力 おひさまの洗たく くつクリーナー」が学校生活の戻りから国内需要が回復し、輸出も伸びたことで、42億2800万円(同8.0%増)となった。

23 年3月期の計画は、売上高475億円(前期比4.5%増)、営業利益25億5000万円(同20.8%減)、経常利益28億5000万円(同17.4%減)、親会社に帰属する当期純利益19億円(同65.0%増)を予想。新製品開発および新規販路への積極的投資と事業マネジメント体制の強化を行い、継続的に売上高を高めていける体制を強化。一方、利益面では、将来的なコストダウンや生産増強に対応するための主力カテゴリーへの設備投資や、新規事業への投資として研究活動を推進する他、成長に向けた戦略的なマーケティング投資やDX・ESG推進、人材育成のための投資を予定しており、一時的にコストの増加を見込む。