エステーの2022年3月期第3四半期決算は、売上高が352億7700万円、営業利益が30億4900万円、経常利益が32億2200万円、純利益が21億9500万円だった。今期から「収益認識に関する会計基準」が適用されるため単純比較はできないが、前期に新基準を適応したと仮定した増減率は、売上高が2.6%減、営業利益が10.5%減、経常利益が12.6%減、純利益が13.6%減と実質、減収減益となる。巣ごもり需要が落ち着いた他、活動抑制からは少しずつ営業活動が戻り販売費および一般管理費が増加、マーケティング費用等を戦略的に投下したことなどが影響した。
売上高をカテゴリー別に見ると、主力のエアケア(消臭芳香剤)は、「消臭力 Premium Aroma」シリーズが堅調に推移した他、21年冬に発売した「消臭力 CLEAN MIST」等が貢献したものの、「SHALDAN」シリーズやクルマ用消臭芳香剤が伸び悩み、157億9100万円(前期に新基準を適応したと仮定した増減率0.8%減)となった。衣類ケア(防虫剤)は、「ムシューダ」シリーズを強化していく中、「ムシューダ ダニよけ」を拡売したが、21年の巣ごもりでの衣替え需要が落ち着き、58億6600万円(同2.4%減)となった。
サーモケア(カイロ)は、「オンパックス」のパッケージを刷新し、ブランド認知度を高めていく他、“温活ヘルスケア”をテーマにした「On Style」シリーズのラインナップを強化したが、市場環境が厳しく、36億5500万円(同1.3%減)。ハンドケア(手袋)は、除菌・衛生商品が貢献した他、機能性とデザイン性に優れた家庭用手袋の拡売に取り組んだが、衛生意識の高まりによる需要が落ち着き、42億9000万円(同11.6%減)となった。
湿気ケア(除湿剤)は、環境に配慮したパッケージへリニューアルし、環境対応市場向けに訴求していく取り組みを進めており、高付加価値品へシフトしていく中で低粗利品を縮小し、24億1300万円(同11.5%減)となった。
一方、ホームケア(その他)は、「洗浄力」や「米唐番」のブランドを周知させていく他、国内の新分野・新市場へのチャレンジとして商品拡充に向けた取り組みを進めている中、21年秋に発売した「洗浄力 シュワッと洗たく槽クリーナー」が好調だったことや、「洗浄力 おひさまの洗たく くつクリーナー」の国内需要が回復し輸出も伸びたことで、32億5800万円(同8.6%増)となった。
22年3月期の見通しは、従来予想を据え置いた。売上高475億円(同3.2%増)、営業利益38億円(6.3%増)、経常利益39億円(4.6%増)、純利益27億円(7.3%増)で、実質、増収増益を見込む。