新年あけましておめでとうございます。
昨年はコロナ禍に加えてウクライナ危機も重なり、日々報道される戦禍を目の当たりにして家族や友人、ペットと平穏に暮らす日常や、自然とのふれあい、心身ともに健やかであることの幸せが改めて実感されたのではないでしょうか。物価高騰による先行き不安から個人消費は低迷を続けていますが、ペットケア市場やアウトドア市場が伸長し、良質な睡眠やストレス軽減を求めて Yakult1000/ Y1000 が大ヒットするなど、日々の暮らしの中で“ウェルビーイング”を叶える商品やサービスに対しては、生活者は喜んで対価を払います。消費が明らかにモノからコトへシフトしたことを実感した一年でした。
2022年に当社は、全社員がお客さまと向き合う「トータルマーケティングカンパニー」を宣言しました。「マス」から「個」へ変化したお客さまと向き合うためには、私たちのお客さまが誰で、どんな価値観でどのようなライフスタイルを送っているのか、もっと理解する必要があります。従って、本年は IDPOS をはじめとするデータ分析により、顧客理解を深めマーケティング戦略につなげる「データドリブンマーケティング」に注力します。データをもとに各種マーケティング施策の効果検証をし、お客さまに対して的確なメッセージをより効率的に届けられるよう、コミュニケーション戦略の進化にも着手します。
「VUCA」という言葉がふさわしい予測不能な時代が続いていますが、この傾向はまだしばらく続くでしょう。これまでと同じ経営を続けていたら生き残れないこの激動期は、まさに脱皮のチャンスです。既存領域は、市場のポテンシャルと将来の成長、高収益が見込める事業に集中してリソースを配分します。一方で当社の常識や既存の枠組みを打ち破る新規事業を着々と立ち上げていく予定です。中心に据える軸は「空気」ですが、空気は一般のご家庭だけでなく、オフィスや駅、空港、ホテル、病院、介護施設など公共の場、そして世界中に存在します。
だから当社は日用品の枠組みを超えて B2B 市場や海外へ事業領域を拡大し、「トータルエアビズ企業グループ」を目指すのです。
昨年後半から、社内にラグビー型の部門連携が動き出したことを感じています。リレー型でバトンを待つのではなく、みんなでボールを奪い合い、取りに行く。ボールを手にしたらすぐに動けるよう、常に戦況に目を配り把握しておく。ラグビー型連携は、スピード経営の鍵です。全社ラグビー型で「トータルエアビズ企業グループ」を目指し、激流の中で脱皮を果たしましょう。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
鈴木貴子(エステー代表執行役社長)