新年あけましておめでとうございます。

昨年を振り返ると、令和が幕を開け、米中貿易摩擦の激化等により世界経済が減速し、製 造業を中心に日本企業の業績が悪化しました。 当日用品業界は、消費増税前の駆け込み 需要もあって比較的健闘し、当社の上期も主力品の原価低減と高付加価値品シフトが寄 与し、前期から一転して業績を回復させました。社内ムードが明るくなるも「これは脱 皮ではなく既存事業の改善であって、安堵は禁物」と全社員が理解した事は、大きな前 進と感じました。

昨年はまた、地球規模の気候変動がいよいよ顕著になりました。低温の春は防虫剤が 不調に終わり、夏には殺虫剤メーカーが苦戦を強いられ、秋は台風19号をはじめ、連 続して到来、深刻な自然災害が起こりました。そして 2 年連続の暖冬でカイロ市場がさ らに縮小するなど、当社も多大なる影響を受け、季節品依存からの脱皮の決意を新たに させられた年でもありました。環境配慮への意識は、海洋プラスチック問題のクローズ アップに続いて、16 才のスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの国連 気候行動サミットにおける演説が世界中に拡散し、行動を起こせず思考停止している企 業はもはや存在を許されない時代が到来したと感じます。

このように経営環境は刻々と変化しており、2020 年はさらなる激動の時代になると私は予測 します。しかしながら、これは絶好の脱皮チャンスです。追い風が吹いている時期には、過去 の遺産である既存事業の売上・利益で、「脱皮」せずとも生き永らえます。強い既存事業を有 する企業ほどサクセストラップに陥り、新分野・新市場への「探索」を怠ってしまうのです。 従 前のやり方で既存事業を回すだけではいよいよ生き残れないと肚落ちした時こそ、組織全体 に「火事場の馬鹿力」が生まれます。 しかも私達エステーの「火事場の馬鹿力」は、抜群の瞬 発力を発揮することが、東日本大震災直後の非常時対応など過去の事例で明らかです。

既存カテゴリーを深堀りするだけでは、社史には残りません。社史に刻まれるのは、次なるス テージに踏み出し、その後の持続的な成長に繋がる「新分野・新市場」への第一歩です。「経 営環境の劇的変化は、絶好の脱皮チャンス」と肝に銘じ、社史に残る脱皮を遂げましょう。 今年もよろしくお願いいたします。