エステーは、エステーマイコールの営業開始と栃木の新工場の完成に伴い、2018年3月28日に開所式を開催した。鈴木貴子社長は「100年以上の長きにわたって高品質な回路を追求してきたマイコール社の意思を受け継ぎ、カイロからサーモケア事業へと枠組みを広げていく」と意気込みを語った。

テープカットの様子

エステーは、成長戦略の一つとしてカイロなどサーモケア事業の強化を挙げている。03年からマイコールの製造するカイロの国内総販売代理店となり、17年12月には同社と事業譲渡契約を締結。18年7月に子会社としてエステーマイコールを設立後、季節にかかわらず体を温める「温活」という新提案で2商品を上市するなど積極的な事業展開を行っている。今後の課題は、①国内外での市場拡大②温熱技術を活用した新コンセプトの製品開発③生産能力の増強と生産・物流効率の向上④将来的なグループ国内生産の再編の四つで、鈴木社長は「この新たなチャレンジに“ONEエステー”で取り組み、サーモケアをエステーグループ全体の成長を牽引する事業に育成したい」と意欲を示した。

開所式には、鈴木社長のほか、同社の鈴木喬会長、エステーマイコールの山口匡士社長、大川秀子栃木市長、フマキラーの大下俊明会長、パウダーテックの佐藤祐二社長が出席。式の終盤では、エステーマイコール社員代表者が同社設立に際しマイコール社員を登用したことへの感謝状を手渡す場面もあった。

茨城新工場

栃木新工場(外観)

栃木の新工場は、エステーグループの国内生産拠点としては埼玉県、福島県、福岡県に続く4カ所目の工場となる。敷地面積は2万495平方メートル、建物は工場棟7492平方メートル、事務棟1152平方メートルの広さで、フル稼働時には1日220~240万枚、年間約4億枚の生産能力を持つ国内最大級のカイロ工場となる。当面は貼るカイロ、貼らないカイロ、足回り、医療機器などカイロ製品の生産を行うが、将来的にはカイロだけでなくエステー商品についても生産する予定だ。全22ラインの生産設備のほとんどはマイコールから継承。ラインの配置や工場内の原料などの搬送の自動化、品質管理のための検査の一元管理など作業の効率化によって、生産能力向上を図った。

鈴木会長は「体温が一度上がると、免疫力は13%アップすると言われている。この新たな工場を通じて人類をより健康に、幸福にしたい」と新工場と今後のサーモケアビジネスへの期待を話した。