温熱ケア市場の潜在成長力を引き出す。エステーは8月27日、サーモケア(カイロ)事業に関する説明会をオンラインで開催し、「オンパックス」ブランドと「On Style(オンスタイル)」ブランドの価値提案を加速させることを明らかにした。

サーモケア(カイロ)市場は回復が期待されている。2010年以降の気候データをみると、大半が暖冬を占めており、なかでも19年は過去最高記録的暖冬となり同年のサーモケア(カイロ)市場(19年4月~20年3月)は、前年比12%減の205億円となった。気象庁によれば20年11月以降は平年並みの気温となり「暖冬の可能性は低い」(エステー )としている。そのため、エステーは20年のサーモケア(カイロ)市場(20年4月~21年3月)は約250億円に回復するとみている。

そうした中、エステーの20年のサーモケア(カイロ)事業では「オンパックス」と「On Style(オンスタイル)」、それぞれのブランドに即した施策を展開し、温熱カテゴリートータルでの活性化を図る。例えば、コロナ禍により外出機会が減り、既存シーンでの使用回数は減少する可能性はあるものの、在宅勤務の普及により増加した肩こり・腰痛などの体調不調を緩和するために使用するといった、季節を問わない新たな需要が生まれると考えられ、寒さ対策プラスαの提案を強化していく。

「オンパックス」の施策では、安定した用途・拡大の可能性のある「貼る」タイプの販売・販促に集中していく。「貼らない」タイプは、基本的に手の使用のみで、主に寒さ対策の使用がほとんどだ。一方の「貼る」タイプは、腰、お腹、背中と使用部位も多く、使用目的も寒さだけでなく痛み対策などもあり、販売拡大の可能性があるとみている。また、市場を細分化すると、高温カイロカテゴリーは18年(18年9月~19年3月)に前年同月比2.3倍と急激に伸長しており、19年(19年9月~20年3月)は同1.1倍と4.2億円市場になった。内訳をみると暖冬の影響で「貼らない」タイプは鈍化傾向にあり、さまざまな用途がある「貼る」タイプが伸長していることが分かる。

そこでエステーは「貼る」タイプの高温カイロを9月11日に投入する。18年に「貼らない」タイプの高温カイロ「オンパックス極熱(ごくあつ)」を発売しており、新たに「貼る」タイプがラインアップすることになる。「貼る」タイプの発売と同時に、「貼らない」タイプのパッケージをリニューアルする。パッケージのベースにカイロでは異色とされている寒色の青を採用し、パッケージ中央に真っ赤な炎を描くことで“極熱”であることが強調されている。「貼る」タイプも同様のパッケージを採用。寒色をパッケージに採用することで店頭でのインパクトを狙う。

オンパックスはる極熱10P

一方、立ち上げから約3年が経つ「オンスタイル」は、女性をターゲットに絞ったブランド。20年の施策では、寒さ対策だけではなく、新たな価値を提供する独自温熱ブランドとして確立させ、新顧客を獲得していく。具体的には、通年ブランドとしての認知拡大のため、ラインアップ強化と既存品のリニューアルを実施する。ラインアップ強化では、新たな使用シーンを提案できる商品として「オンスタイル 腰40℃」と「同 首肩ポイント温熱」を9月11日に発売する。

「腰40℃」は薄型分割形状で、肌に直接貼る腰専用の温熱シート。腰の冷え、ハリの予防・ケアといった温熱シートに求められる基本機能を備えており、約40℃という1年を通して使いやすい温度設計にすることで、通年商品として積極的に訴求する狙いだ。一方の「首肩ポイント温熱」は、約45℃の熱めの温度設計で首や肩のコリにピンポイントで貼る小型の温熱パッチ。気になる部分をピンポイントで約15~20分間集中して温め、手軽に素早くコリや疲れをほぐすことができる。在宅時間が増えたことで“スマホ首”といったさまざまなコリや痛みに悩む人、またコロナ禍によりマッサージ店に通いづらくなった人といった、新しい生活様式で生まれたニーズを捉えた商品だ。

オンスタイル 腰40℃

オンスタイル 首肩ポイント温熱

一方、オンスタイルの既存品は「おしり41℃」「おなか40℃」「肩40℃」と3品そろえるが、商品パフォーマンス評価が最も高い「おしり41℃」のパッケージをリニューアルし、同商品も9月11日に発売する。パッケージに「敷くだけでじ~んわり」と特長をコピー化し、商品の魅力を分かりやすく打ち出した。オンスタイル全般の店頭プロモーションでは、冷えだけでなく、さまざまなコリや痛みを解決する商品が多数ラインアップしていることを訴求できる販促物に一新し、トライアル促進を図る。オンスタイルはドラッグストア、バラエティショップで展開されているが、特に各ドラッグストアでは、販売・顧客データを活用して、生理用品売り場やコリや痛み対策品売り場での販売提案に注力し、お客に向け“通年ブランド”であることを強調していく考えだ。

オンスタイルの販促物を一新(店頭展開イメージ)