値上げラッシュで企業力の差が明らかに

日用品業界は大転換期を迎えている。一昔前の日用品といえば、薄利多売の代名詞。小売業の特売商材に扱われることが多く、メーカーの利益率は非常に低かった。その流れは、各社が高単価の付加価値品を発売することで徐々に変わってきたが、2022年は、原材料価格高騰で値上げに拍車がかかった。大手メーカーの原材料価格の試算(22年12月期)は、花王が期初計画110億円を第2四半期に400億円に修正。ユニ・チャームも同じく174億円から363億円に改めている。この事態を受け花王が先陣を切って仕入れ価格の値上げを宣言。過去のしがらみを断ち切る業界トップの動きに他社も追随し、薄利多売の収益構造を変える好機が突如訪れた。

花王の値上げに対する強い覚悟は、ベビー用紙おむつ「メリーズ」の既存品で示した。同社は原油、パームオイル、パルプなどの原材料価格の高騰に対し、高付加価値製品の拡大や事業活動・販促費の効率化などの企業努力で対応してきたが、それが難しい状況と説明。「メリーズ」8品の出荷価格の単純値上げを行った。これには競合他社も驚きを隠せなかった。というのも、価格は、あくまでも品質や機能に対する対価である。値上げを行う場合、商品のリニューアルを行って機能性を高めるのが定石。それが難しければ、容量を減らすステルス値上げを行うのが業界の常識だったからだ。「花王の値上げが生活者の支持を得て、業界全体が追随することができた。それでも既存品の単純値上げは真似できない」と多くの日用品メーカー幹部は口をそろえる。

花王は先陣を切ってメリーズの値上げを実施

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