積極果敢な日用品業界と化粧品業界の出遅れ

脱炭素(カーボンニュートラル)は、人類共通の課題となった。2021年11月13日に閉会したCOP26(国連気候変動枠組条約 第26回締約国会議)では、30年までの気温上昇を産業革命前に対して1.5度に抑える目標が公式文書に明記された。日本が「50年温室効果ガス実質ゼロ」を発表したように、欧米、中国、インドなどの大国も独自の環境目標を打ち出している。経済活動は、国・地域の垣根を越え、ボーダレス化が進んでいる。中華圏の需要を取り込んでいる日本の化粧品日用品業界も例外ではなく、環境対策とビジネスの両立は企業経営の標準になった。世界中で同時進行している環境問題に対応すれば、先行者メリットが得られる。脱炭素化は、企業の優勝劣敗を決める重要なキーワードに浮上している。

化粧品日用品業界が積極的に取り組むのは、脱プラスチックだ。容器包装リサイクル制度では、消費者は排出抑制と分別排出を行い、市町村は分別収集を担う。事業者には、再商品化(リサイクル)」の責務を負う「拡大生産者責任」を課している。拡大生産者責任とは、OECD(経済協力開発機構)が定義した用語で、容器包装を含む商品の設計、製造に最も影響を与える生産者に対し、商品の廃棄後まで物理的、金銭的な責任を全面的もしくは部分的に拡大する環境政策の手法である。義務を負う事業者は日本容器包装リサイクル協会に再商品化委託料金を支払い、それを元に指定業者が再商品化を実施する仕組みだ。19年度の支払額トップ50(公表事業者のみ)を見ると、化粧品日用品メーカーは、2位に花王(12億7330万2276円)、3位にP&Gジャパン(6億2673万7674円)、8位にライオン(3億7245万3393円)、40位にユニ・チャーム(1億1868万9023円)、47位にコーセー(1億846万6534円)が入っている。

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