ファンケルは、6月22日、研究ミーティングを開催した。今回は、パーソナルワンなどに代表される「ファンケルのパーソナル・ヘルスケアサービス展開のための技術開発」をテーマに、同社総合研究室ヘルスサイエンス研究センター生体機能分析Gの雄長誠氏が発表を行った。

冒頭、雄長氏はこれまでのファンケルの歩みと現在のオーダーメイドサプリ「パーソナルワン」を紹介。同商品は日本人が不足しがちな基本栄養素の充足度を、尿検査で身体への負担をかけることなく把握することができることが特徴で、2022年5月時点で、16カ月連続で前年同月を上回る好調な売り上げを記録している。

今回はその尿検査に用いる新たな技術について説明した。鉄、ビタミンD、βカロテンについて、従来の尿検査よりも高感度に測定することで、血清との相関解析を可能とした。例えば鉄は、不足すると、ヘモグロビンよりも先に貯蔵鉄である「フェリチン」が減少することから、尿フェリチンの量と血清フェリチンの量の相関性を発見し、それを技術に応用。尿では測定しにくい脂溶性ビタミンであるビタミンDについても、富山県立大学と共同研究した特殊な技術を用いて、郵送できる量の尿から測定できるようにしている。

また、雄長氏は、新たに始めたアスリート向けサービスについても紹介。20年度から行っている鹿屋体育大学・KAGO食スポーツ長島未央子氏との共同研究により、栄養消費量の多いアスリートの尿からの評価が可能になったため、同サービスの提供に至ったという。「鉄不足は競技パフォーマンスに影響を与えるということで、指導者からいくつもサービスを利用したいというお声をいただいていましたが、研究によりアスリート向けの新しいロジックを開発することができました」(雄長氏)。今は、KAGO食スポーツと連携し、慶應大体育会競走部へのサポート体制を強化するなど、栄養サポートの継続とパフォーマンス向上に努めている。好調なパーソナルワン事業をさらに後押しするような新たな事業展開と技術開発に今後も期待が集まる。

月刊『国際商業』2022年08月号掲載