エクスバリア美容液ゲルをスターアイテムに育てる

--創業30周年の記念プロモーションは、大きな転換点にしたいですね。

山田 22年秋に大きなプロモーションを行うために、社内で議論を交わしているところです。成長の基盤づくりと位置付けており、エクスバリアとアクネオの魅力を伝えていきたい。例えば、エクスバリアは、スターアイテム作りの出発点にします。私が期待しているのは美容液ゲル「リペアゲルAL」。擬似バリア膜を形成する「サクラン(スイゼンジノリ多糖体)」配合しており、乾燥、肌あれをくり返しがちな弱バリア肌も、角層のすみずみまでケアしてハリツヤを与えます。ふっくらすこやかな肌になる逸品だと思うのですが、これまであまり目立っておらず、もったいない存在なんです。十分なポテンシャルを持つ商品ですから、30周年を機に光を当てていきます。

--販路である化粧品専門店との連携についてはいかがでしょうか。

山田 自社通販を除くと、ドクターフィルコスメティクス社にとってカウンセリング力という強い武器を持つ化粧品専門店さまは、一緒にブランドを育てていける存在と感じています。とはいえ、これまでの営業提案は、新規をとり、固定化を目指すというもの。これは大きなブランドだけに許される王道の手段であり、エクスバリアのようなニッチブランドに相応しくない。化粧品専門店の経営を考えると、有名なブランドで会員を増やす方に力が入るのは当たり前です。ですから、エクスバリアは、肌が敏感になりやすい時期の頼りになる存在として、化粧品専門店の奥さまはもちろん、お客さまにも認知していただきたい、と思っています。

--化粧品専門店の特徴である接客力には期待している、と。

山田 もちろんです。エクスバリアは丁寧なカウンセリングが必要なブランドだと考えており、お客さま一人ひとりに向き合える専門店様を中心に協業を深めていきたい。そこに我々が行うデジタル施策で興味を喚起し、試用したいお客さまが店頭に足を運ぶ。そして化粧品のプロフェッショナルが敏感になっているお客さまの肌に適したアドバイスとともに、エクスバリアを推奨していただく。エクスバリアで肌状態が安定すれば、化粧品専門店への信頼は高まり、必ず再来店してくれるでしょう。そうなれば、セレクトショップである化粧品専門店は、多様な商材やサービスを提供することで固定客化できる。そして再び肌状態が揺らいだ時は、エクスバリアに戻ってきてもらう。この製販それぞれにとって好循環を生むために、営業施策はもちろん、営業担当者の動き方も変えていこうと思っています。

性別を問わないアプローチでアクネケアの代名詞を狙う

--アクネオの強化策についてはいかがでしょうか。

山田 実は、21年6月に著名なユーチューバーにニキビケアと美白を叶える「薬用 スキンケアパウダー」を取り上げていただいたところ、2週間で5カ月分の売り上げになったんです。アクネオの商品価値について、ターゲット層にきちんと届けると、興味を持っていただけるのは確かです。今後は顧客の幅も広げていきたい。「大人ニキビ」をケアするアクネブランドとしてアピールしてきましたが、思春期のニキビへの対応や、ジェンダーフリーの流れを取り入れ、性別を問わず、ニキビに悩む方々にアプローチしていきます。顧客層の拡大が見込めますから、主力のドラッグストアの売り場に送客できるのではないかと期待しています。

パーソナルニキビケアシリーズ「ACNEO(アクネオ)」

パーソナルニキビケアシリーズ「ACNEO(アクネオ)」

--エクスバリア、アクネオともに、リアル重視の戦略を考えているのでしょうか。

山田 デジタル上での宣伝はもちろん、EC活用は、認知拡大や顧客獲得を大きく左右する要素です。我々にとって喫緊の課題であり、新しい施策を矢継ぎ早に打つ準備を進めています。とはいえ、リアルの売り場を軽視することはできません。ドクターフィルコスメティクス社は、肌に負担のない化粧品を求めるお客さまがターゲットですから、デジタル上で商品を知ったとしても、自分の肌に適しているか試したい、相談したい、というニーズが強いからです。だから、カウンセリング重視のエクスバリアも、セルフ販売のアクネオも、リアルの売り場に磨きをかけ、どんどんお客さまに足を運んでいただこうと思っているんです。

--ドクターズコスメブランドとして存在感を確立した後、次の成長戦略についてどのように考えていますか。

山田 数年後を見据えて、新しい商品の開発を模索しています。ドクターズコスメにふさわしい商品になるよう、知恵を絞っています。一方、中長期的に日本でのブランド認知が高まれば、海外市場への展開も考えられるのではないか。それには各国の規制などに対応しなければならず、ドクターフィルコスメティクス社の人材力、組織力が問われることになります。ブランド強化と同時並行で、次の時代を担う社員の育成にも力を入れます。