■土岐工場の早期稼働で取引先のニーズに対応
――2018年には台風など自然災害により訪日観光客の化粧品購買の減少が懸念されました。
日比野 18年の国内化粧品業界は、国内GDP伸長率が1.2%と低い伸びを示し、急速な少子高齢化に伴う女性の化粧人口の縮小といったマイナス要因があったものの、今後も拡大が見込まれる底堅いインバウンド需要や越境ECなどのアウトバウンド需要が市場を牽引し、2桁に近い伸長を遂げました。国内化粧品市場の内需が横ばいから微減で推移しているなか、化粧品業界の安定成長は、インバウンド消費が支えているといっても過言ではありません。訪日外国人観光客は、18年に初めて3000万人を超え、東京五輪が開催される20年には4000万人に達する見込みです。そのうち1000万人は中国人観光客であることから、インバウンド需要は引き続き堅調に推移すると予想されます。また、越境ECの拡大により、日本を訪れることなくメイドインジャパンの化粧品が購入できることから、中国人の富裕層を中心にアジア向け輸出が大きく増加。18年度の日本製化粧品の輸出額は、6年連続で過去最高を更新し、初の5000億円台の大台に乗る見通しです。19年は、日本国内における消費税増税、米中の覇権争いによる貿易摩擦、英国のEU離脱、米国の保護主義政策などのマイナス要因はあるものの、国内化粧品市場は継続成長が見込まれます。また最近ではアジア系の企業が日本をベースに活動している化粧品企業を買収するといった動きも出てきました。メイドインジャパンの化粧品は外国の消費者だけではなく、海外の企業にとっても経営の武器になると考えられているのだと思います。
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