ポーラ・オルビスHDは4月28日、2021年12月期第1四半期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比0.6%増の435億6100万円、営業利益は114.7%増の43億700万円、経常利益は円安に伴う為替差益の計上により57億6300万円(前年同期は経常損失1億5400万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は39億3900万円(前年同期は四半期純損失12億4600万円)と、店舗事業の減収をECと海外でカバーし増収、利益も原価の低減および販売関連費の削減などに営業利益は増益、経常利益、純利益は黒字転換した。

主力のビューティケア事業は、売上高が0.9%増の424億4500万円、営業利益が146.5%増の41億9000万円だった。

「POLA」は、国内でのECチャネルの売り上げが大きく伸長。一方、エステなどの対面型サービスにおいては、店内衛生管理・感染防止対策の徹底、さらにライブコマースやオンラインカウンセリングなどを積極的に取り入れるなどし、既存客の来店回復に努めた。海外では、中国EC、韓国免税店が高成長を継続している。重点市場の中国では、百貨店およびライブコマースなどの取り組みも好調に推移し、新型コロナウイルス感染症再拡大による影響が残る中、POLAブランドは前年同期を上回る売上高・営業利益となった。

「ORBIS」は、エイジングスキンケアシリーズ「オルビスユー」を中心に据え、スキンケア顧客の拡大を目指し、顧客別のコミュニケーションを強化することで、購入客数は前年を上回る実績となった。海外においては、アジア圏における顧客接点の拡大によるブランド認知率の向上に取り組んできたが、新型コロナウイルス感染症再拡大の影響に伴う店舗の時短営業やメイク品の需要減少などの影響により顧客単価が減少し、ORBISブランドは前年同期を下回る売上高・営業利益となった。

「Jurlique」は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたアジア地域や豪州、トラベルリテールでの営業活動が大幅に制限される中、前期より進めてきた、中国国内事業の直営化およびECチャネルへのシフトが順調に成果を上げており、前年同期を上回る売上高となった。一方で、費用面では売上増加に伴う生産効率の向上および固定費の削減など、構造改革にも積極的に取り組んだ結果、営業損失は縮小する結果となった。

「H2O PLUS」は、成長市場であるクリーンビューティ市場におけるブランド確立を目指し、ECチャネルでの顧客拡大に取り組んだ結果、同チャネルでは前年同期を上回る売上高となったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、観光産業が大きな打撃を受けたため、宿泊施設へのアメニティ出荷が大幅に縮小。その結果、全体では前年同期を下回る売上高となった。費用面は、販管費の削減に積極的に取り組んだものの、売上減少を補いきれず、営業損失が拡大した。

育成ブランドについては、「DECENCIA」の好調や、18年にローンチした「Amplitude」「ITRIM」「FIVEISM×THREE」の売り上げが成長したが、「THREE」における新型コロナウイルス感染症の拡大による売上減少の影響が大きく、前年同期を下回る売上高・営業利益となった。

21年12月期通期業績予想は、売上高が7.8%増の1900億円、営業利益が38.2%増の190億円、経常利益が51.0%増の190億円、親会社株主に帰属する当期純利益が144.0%増の113億円と、期初予想を据え置いた。

月刊『国際商業』2021年07月号掲載