化粧品のEC化は簡単なことではない

ECで売り難いものを売る。この哲学を掲げるZOZOは、アパレルの次のターゲットに化粧品を選んだ。2021年3月18日、アクティブ会員(※1)777万人を誇るファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」内に化粧品専門モール「ZOZOCOSME(ゾゾコスメ)」がオープンした。SNSでの反響が大きくなった3月16日から3月22日までのゾゾコスメ関連のツイート数は約7300件。お得なポイントの存在を呟いたツイートがきっかけとなり、話題が拡散した(※2)。売れ筋は非公表だが、ZOZOカテゴリ推進本部の乾卯太弘本部長が「ゾゾコスメ限定品に偏らず、他のチャネルでも買える商品も売れている」と明かしていることから、ゾゾコスメは好スタートを切ったことは間違いない。

※1:過去1年以内に1回以上購入した会員数

※2:ホットリンク社調べ。抽出キーワードは、ZOZOコスメ,ZOZOCOSME,zozoコスメ,ZOZOコスメさん,ゾゾコスメ。Twitterの10%サンプリングデータから収集し、推定実数値を算出。ツイートの頻出関連語で目立ったのは「クーポン」「ZOZO GLASS」「楽しみ」「悩み」。「楽しみ」はローンチへの期待を示すもので、「悩み」はゾゾコスメで買うものに悩むという声を指す

ZOZOの化粧品販売が11年4月に始まったことは、あまり知られていない。ゾゾコスメの華やかなデビューとは対照的に、ZOZOの化粧品販売に日が当たらなかったのは、アパレル分野に投資を集中したからだ。その転機は19年9月に創業者の前澤友作氏が退任したことである。澤田宏太郎現社長の体制になることを契機に、ZOZOのビジネスモデルを見直した。そこでアパレル以外に注力する分野に選ばれたのがシューズと化粧品である。理由は顧客ニーズが高いことにある。ゾゾタウンの主力顧客層はZ世代(16~24歳)とミレニアル世代(28~38歳)で、777万人のアクティブ会員のうち、女性は533万人。彼女たちがSNSで情報を集める分野は、トップがファッションで、次点が美容系なのだ。

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