ZOZOは、2021年3月にコスメ専用モール「ZOZOCOSME」を立ち上げる。強みは、国内アパレル通販トップの「ZOZOTOWN」が持つ顧客基盤だ。過去1年以内に1回以上購入したアクティブ会員は777万3940人で、そのうちの7割が女性(533万人)。大半がZ世代(16~24歳)とミレニアル世代(28~38歳)である。平均年間購入金額は4万3809円、リピート購入率は78%で、いずれも高水準だ。同社の調査によると、アクティブ会員はファッションの次に美容に関心を持っている。実際、化粧品の平均年間支出額は8万2200円で、一般平均(19年家計調査年報2人世帯以上)の2.2倍に当たる。化粧品のEC購入率は73.7%と高く、親会社Zホールディングス傘下のYahoo!、LINEからの送客も期待できる。ZOZOCOSMEはオープン時に約500ブランドをそろえる予定。高級ブランドは外資中心になりそうだが、大手国内メーカー役員が「社内調整が難航し出店を見送ったが、貴重な若年層との顧客接点だから、本音は今からでも出たい」というように、化粧品でもZOZO旋風が巻き起こるかもしれない。

当然、ZOZOの競合も販売強化に動き出している。例えば、楽天は高級ブランドの取り扱いを強化。ノインはKDDIと資本提携し、メインユーザーである20~30代の女性向けに独自の化粧品購入体験をつくると表明。そして大きく動いたのはアイスタイルで、21年4月1日に化粧品専門店「@cosme STORE」「@cosme TOKYO」を運営するコスメネクストと化粧品専門EC「@cosme SHOPPING」を運営するコスメ・コムを合併し、新会社アイスタイルリテールを設立する。20年1月に東京・原宿駅前にオープンした「@cosme TOKYO」はコロナ禍の影響で赤字。他の店舗にも逆風が吹いており、今回の合併は、ネットの体験をリアルで、リアルの体験をネットで提供するOMOの加速で、アイスタイルの競争力を再強化することにある。

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