アイスタイルが、アリババとの新たな取り組みとして「直輸出プロジェクト」を開始すると発表した。

アイスタイルは、2012年から中国事業を開始し、15年からはTmall Global(天猫国際)で越境ECにも参入。18年には、Tmallが選ぶ「年度権威口碑排行榜賞(最も権威のあるクチコミランキング賞)」を受賞するなど、中国国内において認知が広がっている。

今回、中国におけるEC市場の競争激化や、新型コロナウイルスの感染拡大による観光客の渡航制限など化粧品を取り巻く環境が大きく変化する中、日本のコスメブランドの中国市場進出をサポートし、中国市場でのブランド育成を可能にする「Tmall Global×@cosme 中国直輸出プロジェクト」を、アリババグループと共に開始する。11月上旬に約30ブランドでのスタートを予定している。

同プロジェクトは、ブランドが商品一つから輸出できる画期的なシステムだ。越境EC市場が確立され、多くの日本商品を中国国内に販売しやすくはなったものの、保税区倉庫で一定規模のロット数を保管する必要があり、売り上げ規模の少ないブランドにとっては参入障壁が高かった。

同プロジェクトを通じて販売することで、一定量の在庫を保管するというリスクや、実際の販売チャネルの把握が不透明になるというリスクを回避。また、従来必要であった倉庫費用や、輸出に関わる煩雑な作業も不要となるため、中小ブランドにとっては非常に大きなメリットがあるといえる。

また、消費者にとっては、まだ発売したばかりの海外の新しい商品が幅広く取りそろえられており、メーカーからの直流通にもかかわらず、それらの商品が注文から7日という短期間で届くというこれまでにないシステムだ。

中国消費者に対してのアプローチは、アリババと協業することでこうしたシステムを実現。Tmall Global内に専用ページを開設し、ブランド力と直送店舗からの専用同線で多くの流入を見込む。また、KAORAにも同時出店する予定だ。

Tmall Global 副総経理 兼 海外直送事業 総経理の董臻貞(ドン・ジェンジェン)氏は、会見において中国国内の市場環境を説明した後、中国における海外ブランドの可能性を強調。また、今後の展望について「商品のみでなく、アットコスメのランキングや影響力を活用してマーケティング活動にも生かすなど、今後の発展にも全力で取り組みたい」と語った。

アイスタイルの吉松徹郎社長兼CEOは、「今回の直送モデルは、ブランドにとって最初のエントリーとしての仕組み。このモデルが成功した暁には、Tmallのアットコスメの旗艦店や現地での卸モデルなど、市場を拡大していけると考えています。今回のプロジェクトによって、より積極的に中国に出ていく仕組みが出来上がる。今後ますますの成長が期待される中国市場においてアイスタイルグループがTmallグループと手を取り合って日本の化粧品を広げるお手伝いができればと思っています」と意気込みを語った。