花王は、同社サニタリー研究所と順天堂大学(学長・新井一)大学院スポーツ健康科学研究科の内藤久士研究科長・教授、鈴木宏哉先任准教授との共同研究グループが調査した、2020年4~5月の新型コロナウイルス感染症対策の緊急事態宣言下における幼児(1~5才)の活動実態を発表した。

調査は、花王が保有するモニターパネルから抽出した首都圏在住の1~5歳の幼児とその保護者41組を対象に実施。歩数計測、日誌記録、アンケート回答から、緊急事態宣言により外出の機会が激減した中、1~5歳の幼児の日常の生活はどのように変化し、保護者がどのような影響を及ぼしたのかという実態を調査した。

順天堂大学の内藤久士教授は、この調査を公表する意義について「基本的なことをタイムリーに研究することは難しいが、今回は運良く非常にタイムリーにその実態の把握ができた。われわれがどうするべきなのか、今後のヒントとなることを提言できればと思います」とコメントしている。

調査によると、緊急事態宣言下では、幼児も保護者も歩数が減少。影響は保護者よりも幼児の方が大きく、3~5才では2~6割減少していることがわかった。その歩数減の大きな原因は、やはり外出しないこと。調査期間中の歩数は外出の有無に影響されており、外出しないと1~2才では約3割減、3~5才では約4割減と大きな減少幅になっていた。これにより、3~5才だけでなく先行研究が乏しかった1~2才も含めて、外出が制限されることが歩数減の大きな要因になったことが推察される。

一方で、外出しないときも保護者の工夫次第で幼児の活動量は増えることも今回の調査を通してわかった。外出しづらいときに減少しがちな活動量を少しでも取り戻すために保護者が取り組んだこととして、「なるべく一緒に体を動かすことができるような動画などを見せて遊ぶ。庭で思いきり遊ばせる。階段の昇り降りで運動不足にならないように遊ばせている」「運動不足になってほしくないため、家の中でトランポリンや室内用鉄棒で遊ばせている。時間をかけてでも家事を手伝ってもらう。洗濯ものをたたむ、お片付けなど」「室内遊びを増やす。トランポリンを導入しました。お父さんが相手できるときは、かけっこなどを中心にやってもらいました」「おうちで楽しくしている。テント、庭ごはんなど。家の中でかくれんぼやおいかけっこをしている」という例が挙がった。

また、保護者を歩数の多さでグループ分けし、その子どもの歩数を分析したところ、1~2才では、保護者の歩数が多いグループの方が幼児の歩数が多いことが分かった。一人でできることが少ないこの年齢の幼児は親との関わりが多いため、親子で一緒に活動することが幼児の活動量増につながることがわかる。

その他、今回の調査では活動量の減少以外に、幼児もストレスを感じたり生活リズムが乱れたりしていることもわかった。

鈴木教授は、乳児の活動量が幼少期に引き継がれるという先行研究による知見を明らかにした上で、「今回の調査結果からは、いずれの年齢においても、感染に気をつけながら体を動かす工夫をしたり、外出をするだけでも活動量(歩数)の低下は抑制できる」とした。また、これまでの多くの研究から、活動量は平日の方が休日に比べて多い傾向にあることが示されており、多くの幼稚園・保育園が再開している現在、これらに通園している子どもたちの活動量は元の状態に戻りつつあると考えられるため、「保護者が子どもの活動量確保のために過剰な心配をする必要はない」と前向きに判断している。

一方で鈴木教授は、本来ならば子どもが集団遊びの中で得ていくはずの社会経験が、ソーシャルディスタンスを保つことが推奨される状況の中では不足してしまうことを危惧。運動の「量」だけでなく、こどもの社会的な成長につながるという「質」にも目を向け、鬼に触れないでも進行できるようにルールを変更した「だるまさんが転んだ」など、ソーシャルディスタンスを確保した中でできる集団遊びを工夫をして行うことが重要だと説いている。