“ESG視点でのよきモノづくり”強化で、三つのイノベーションを発表
花王は9月26日、花王グループのESG戦略と、今後の具体的なアクションプランについて説明する発表会を実施した。
昨今、気候変動、高齢化社会、資源枯渇、海洋プラスチックごみといった社会的課題が、市場そのものに大きなインパクトを与え、消費者ニーズにも変化をもたらしている。この変化の中、花王では、消費者が求める持続可能な暮らしを「Kirei Lifestyle」 とし、それを実現するためのESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を2019年4月に公表した。
発表会では、「Kirei Lifestyle Plan」をもとに、花王グループがこれまでの企業活動の中で培ってきた“よきモノづくり”の思想を、“ESG視点でのよきモノづくり(ESGよきモノづくり)”へと高め、推進していくとし、その第一弾として、三つのイノベーション「リデュースイノベーション」「リサイクルイノベーション」「ソーシャルイノベーション」に注力すると発表した。
さらに2020年春には、「Kirei Lifestyle」を体現する新ブランドも欧米から発売するなど、ESGを根幹に据えた経営に大きく舵を切り、グローバルで存在感のある会社を目指す。会の冒頭、花王の澤田道隆社長は次のように挨拶した。
「現在花王は、2017年に『自ら変わり、そして変化を先導する企業へ』をスローガンに掲げた4カ年の中期経営計画『K20』の達成に向け、グループ総力で取り組んでいます。そして2025年、2030年、さらにそれ以降も、事業を持続的に成長させていくためには、新たな基盤構築が重要と考え、今般、花王グループの新たな挑戦としてESG経営に大きく舵を切っていくことを宣言いたします」
“よきモノづくり”から“ESGよきモノづくり”へ
花王は、これまで進めてきた “よきモノづくり”を、商品設計の最初の段階からESG視点を念頭においた“ESGよきモノづくり”へと高め、推進していく。その第一弾として、「リデュースイノベーション」「リサイクルイノベーション」「ソーシャルイノベーション」に注力していくと発表した。
「リデュースイノベーション」では、これまで進めてきた容器の薄肉化、つめかえの促進、濃縮化、大容量化の継続的な推進と共に、プラスチックボトルレス化の加速、商品(パッケージ)にプラスして貼付しているプラスチック製のアイキャッチシールの全廃、販売店からの返品や販促物などの廃棄物ゼロ化、サプライチェーン全体で無駄をなくし、持続可能な「ホワイト物流」の実現を目指す。
「リサイクルイノベーション」では、使用済みプラスチック容器の革新的リサイクル技術の構築、高品質・低価格な再生プラチックの開発と活用、使用済みプラスチックから価値を創造する「リサイクリエーション(リサイクリエーション:使い終えたものを再び資源に戻す「リサイクル」と、新たに価値を創造する「クリエーション」を合わせることで、従来のような同じモノに戻すのではなく、より楽しいモノ・よりよいモノを創り出す、アップサイクルのこと)」の推進、プラスチックごみの産業用途への利用などに注力し、廃棄(処理)までを責任をもって取り組む。
「ソーシャル イノベーション」では、Fine Fiber(ファインファイバー)技術、RNA Monitoring(RNAモニタリング)技術、感染症予防研究を掲げ、QOL(quality of life;クオリティ・オブ・ライフ。一人ひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のこと)の向上をめざします。
最後に、澤田社長は「ESGを事業戦略の中心に据えると、衛生領域、治療・医療領域など、花王が取り組める新しい事業領域がもっと見えてくるのではないかと思っています。今日発表した新しい取り組みは、花王だけではできません。行政、企業などと連携していくことで、大きなムーブメントにしていきたいと考えています」と、意気込みを語りました。花王グループは事業戦略にESGの視点を導入することで、世界の人々の喜びと満足のある豊かな生活文化を実現するとともに、社会のサステナビリティへ貢献していきます」と述べた。