資生堂の20年上期決算は、売上高4178億1200万円(前年同期比26.0%減)、営業損失が34億3600万円、経常損失が63億5300万円、当期純損失が213億7600万円と、新型コロナウイルスの影響により大きく減収減益した。

第2四半期のみでは、売上高が1909億円(実質前年比マイナス32.6%)、営業損失が99億円(前年差マイナス400億円)、四半期純損失が228億円(前年差マイナス417億円)となった。

売上高の前年比推移をみると、大半の地域で4、5月以降回復基調にある一方、未だに厳しい経済環境だと言わざるをえない。コロナ禍からの回復が早かった中国が唯一プラスに転じる一方で、世界の大半の地域で大きく減収。特にメイクアップ・フレグランスが大幅なマイナスとなった。

地域別に見ると、日本はローカル売り上げが4、5月に底を打ち回復基調になったものの、デパートの店舗閉鎖、ドラッグストアの時短営業など、いまだ低調が続き、インバウンド需要は激減したままだ。

一方の中国は、プレステージブランドの飛躍的な成長が中国全体の回復をけん引。プレステージブランドの「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「イプサ」、「NARS」を中心に50%超の成長を見せ、市場シェアを拡大した。また、Eコマースも成長加速しており、35%を超える伸長を見せた。

その他、トラベルリテールでは国際線の大幅な減便により各地域厳しい環境が続く中、中国・韓国の市中免税店はモメンタム回復。アメリカはDrunk Elephantが好調だったものの、ヨーロッパと共通してメイクアップ・フレグランスが大幅なマイナス。今後は固定費が高く収益性の低い構造を課題とし取り組む考えだ。

これらの結果を受け、資生堂は5月に取り下げた20年通期計画を発表。売上高は9530億円、営業利益0円、経常損失65億円、当期純損失220億とした。

下期は、マスク着用による肌悩み、メイクアップニーズの変化や衛生意識、価格に対する意識の高まりなど生活者の意識変化に迅速に対応する他、BCライブストリーミングやオンラインカウンセリングなど、デジタル・Eコマースの利用を拡大。また、マーケティング投資も中国エリアに大胆にシフトするなど、対応を急ぐ考えだ。