ライオンは6月24日、 歯周病予防の有効成分として使われる生薬の一つである「オウバクエキス」が、歯槽骨吸収(歯を支えている骨が溶ける)に関与する破骨細胞(骨を壊す細胞)の形成を抑制することを確認したと発表した。

一般的に、歯周病を予防するための日常的なオーラルケアに対しては、歯茎の腫れを抑える抗炎症成分や、炎症の原因となる歯周病菌に対する殺菌成分を配合するなど、歯肉に着目したアプローチが主流である。一方、歯周病が進行すると過剰な歯槽骨吸収が起こり、最終的には歯の喪失に至ると言われているにもかかわらず、歯周病予防成分による歯槽骨の吸収に着目したアプローチは、ほとんどなかったという。

そこで今回の研究では、歯槽骨吸収に関与する破骨細胞の形成に対し、歯周病予防成分の一つであるオウバクエキスを作用させ、その影響を検証した。同研究により、歯周病予防成分として認められているオウバクエキスには、従来の抗炎症などの作用のほかに、歯槽骨吸収に関与する破骨細胞の形成を抑制するという新たな歯周病予防に対する作用が見出された。

この知見は、従来の抗炎症など歯肉へのアプローチにとどまらず歯槽骨を含む歯周組織全体に着目した歯周病予防につながるという。

なお、同研究は、今年4月に「第98回 国際歯科研究学会(International Association for Dental Research:IADR)」にて誌上発表しており、また関連する研究について、7月に開催される「第63回 春季日本歯周病学会学術大会」にて誌上発表する予定だ。