20年代の国内市場 勝ち組の条件
化粧品業界の2020年代は厳しい船出になった。国内市場はインバウンド需要が一巡。人口減が加速しており、今後、市場縮小が鮮明になっていく。一方、海外市場は、依然として中国人の化粧品需要は旺盛だが、投資力が段違いの欧米ブランド、成長著しい中国ブランドとの競争が激しい。しかも、中国人旅行客を取り込もうと、トラベルリテールへの出店を急ぐ企業が増えているが、中国・武漢で多発する新型肺炎対策で、中国政府は団体旅行を禁止した。SARS(重症急性呼吸器症候群)は発生からWHO(世界保健機関)の収束宣言まで9カ月かかった。SARSほどではないという見方もあるが、楽観を許さない状況が続く。化粧品業界は、知恵を絞ってリスクに耐え、新たな活路を開くことが求められている。
国内市場の潮目を変えたのは、19年1月1日に施行された中国電子商取引法(新EC法)である。転売業者の動きが止まり、各社の業績に陰りが生じた。しかも化粧品の購入金額が大きい訪日中国人の消費も伸び悩み、売上減をカバーできていない。19年の訪日中国人数は前年比14.5%増の959万人(出典:日本政府観光局)と好調にもかかわらず、化粧品の購入が伸びない理由は内外価格差にある。空港免税店や中国本土での価格が日本国内を下回るケースがあるのに加え、価格訴求力が強い韓国での購入が増えているという。この現状に危機感を抱く企業は多い。大手メーカー幹部は言う。
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