価格引き下げ競争はデフレ再燃をはらんでいる

「キャッシュレスポイント還元は価格競争の土俵に立つことにもなりかねない」。大手化粧品メーカーの営業担当は、消費税増税対策として経済産業省主導で行われているキャッシュレス決済ポイント還元事業に苦言を呈する。対象は中小規模の事業者。名目は消費税増税後の消費浮揚策にある。参加する中小の小売店や旅館、生協などの組合組織、コンビニなどのフランチャイズチェーンでキャッシュレス決済を行うと、最大5%のポイントが還元されるというものだ。制度の対象外である大手小売店では売り上げの減少を抑えようと、独自に価格対応やポイント還元で対応。小売りの現場ではすでに価格競争が始まっている。

消費税増税実施前の2019年9月18日、日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会、全国スーパーマーケット協会、日本チェーンドラッグストア協会は、経済産業省に対して、消費税増税対策としてのキャッシュレスポイント還元事業の抜本的な見直しについての要望書を提出した。この要望書でも官主導による過度な価格引き下げ競争は、「デフレの再燃」を招きかねないものと大きな憂慮を表明していた。

ポイント還元事業は一定の政策効果はあったが?

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