資生堂は東北工業大学との共同研究により、超高感度冷却CCD(Charge Coupled Device)カメラによる肌のバイオフォトン測定技術を応用することで、紫外線ダメージなどによって肌に蓄積される酸化ストレスを顔全体の広い範囲で評価することに成功し、顔の酸化ストレスには部位差があることを初めて明らかにした。また、本技術を用いて、酸化ストレスレベルは加齢に伴い増加すること、酸化ストレスレベルとシワには密接な関係があることも見出した。

同社では、今回の発見を通じて、肌の部位ごとの酸化ストレスに応じた適切なスキンケア・サンケア製品の開発や、より効果的な使用方法の提案など、様々な領域への活用を目指し、研究開発を進めていく考えだ。

なお今回の研究結果は、9月30日から10月2日にイタリア・ミラノで開催された「国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)ミラノ中間大会2019」でポスター発表したものだ。

肌からは、バイオフォトンと呼ばれる目には見えない極めて微弱な光が発生しており、この微弱な光は酸化ストレスに伴い増加することが知られている。資生堂では、2018年に、超高感度冷却CCDカメラによる測定技術を応用することで、バイオフォトンを撮影し、肌を傷つけることなく、肌の酸化ストレスを高精度に可視化できるようにした。この技術により、日焼け止めが紫外線を防ぎ、酸化ストレスの発生を抑制すること、化粧品に含まれる緑茶抽出液が紫外線ダメージによって生じる酸化ストレスを抑制する効果があることを視覚的に証明することに成功している。

バイオフォトンは非常に弱い光のため可視化には高い技術が必要で、広い範囲を正確に観察することは非常に難しかったが、今回、顔全体の酸化ストレスを評価することに成功。その結果、眉間・鼻周りの肌が他の部位に比べて酸化ストレスが高い状態にあることが判明。この部位は顔のなかでも紫外線が当たりやすく、皮脂の多い部位なので、酸化ストレスが高くなっている可能性が考えられ、日焼け止めをこまめに塗り直したり、しっかりとスキンケアを行うなど、部位に合わせたケアの重要性が示唆される結果となった。

また、本測定技術を活用して、各年代の女性の目周りの肌の酸化ストレスを評価したところ、肌の酸化ストレスレベルは加齢とともに増加し、酸化ストレスレベルの高い肌ほどシワのスコア(程度)が高まることを見出した。

紫外線による肌の酸化ストレスは光老化の原因の一つとされており、特に顔は年中紫外線を浴びるため、日頃から肌をケアすることは非常に重要だ。資生堂では、これまでに得られた研究成果をもとに、酸化ストレスから肌を守るスキンケア・サンケア製品の開発を進めていく。