取引が続く店舗の条件は公開されていないが、若者が集まる高トラフィックの立地であること、そしてプレステージブランドに相応しいカウンターが設置できるスペースを確保できることを重視している。基準の一つに月商1000万円以上もあるようだが、それを下回っていても、若者と出会える立地、その可能性を秘めている立地には投資を継続する。

もちろん、通知を受けた流通側は困惑した。対象は全チャネルである。百貨店では岐阜高島屋、山陽百貨店(姫路)などの地方店のカウンターが閉鎖。最大の取引先「イオン」とも幕張本社で商談を進める。しかし、SK-Ⅱの決断に強く反発しているのは化粧品専門店業界。9月13日に初めて行った全国化粧品小売協同組合との協議は継続される見込みだが、SK-Ⅱが方針を変えることはないだろう。

というのは、少子高齢化が進む日本市場において、プレステージブランドの地位を守るには、20代の若年層に出会える高トラフィックの立地に絞り込むのは一つの手段である。そのような立地は、訪日客の目にも止まるから、そこに投資を集中することで、グローバル市場での存在感も高めることができる。それにSK-Ⅱの需要は世界中で高まっている。唯一の生産拠点である滋賀工場の拡張は終わったとはいえ、旺盛な海外需要を踏まえれば、フル稼働後も供給力アップに取り組むことに変わりはない。グローバルで物事を考えるSK-Ⅱにとって、流通の再構築は避けられない道だった。