「いずれこの日が来ると思っていたが、これほど大胆に取引先を絞るとは思わなかった」。有力化粧品専門店の経営者を驚かせたのは、P&Gプレステージ合同会社が9月初旬に送付した「お取り引き終了に関する重要なお知らせ」だ。同社と販売店が結ぶパートナーズ契約に基づき、取引を終了し、解約の手続きをとるという内容。契約期間は最長2021年9月末。商品の受注は21年9月29日でストップし、10月1日以降は出荷が止まる。P&G側が提示した解約に伴う条件は、サインボードなどの撤去費用は一律3万円で、解約日以降最長6カ月以内に撤去を完了すること。解約助成金は、概ね年間売上高の15~20%程度。20年9月までの解約なら100%、それを越えると半額だが、「(20年9月までに応じれば)半年分の利益を少し超えている。ここまで支払うとは思わなかった」と驚く経営者は多い。この解約が完了すると、日本国内のSK-Ⅱの店頭は、半分程度になる見込みだ。
SK-Ⅱの目的は、生活者の変化を考慮した買い物体験の提案にある。インターネットやスマートフォンの普及に伴い、生活者が得る情報は増え、店頭での体験価値はシビアに評価されるようになった。そこで近年、SK-Ⅱは、AIやITを駆使したポップアップ店舗を東京、上海、ニューヨークなど世界各地で実施、時代に適した店頭を模索してきた。19年9月2日に発表した新戦略では、ブランド、人、店舗への投資強化を三本柱に置いたが、この流れに、配荷店の最適化がある。SK-Ⅱらしい戦略が実現できる店頭に集中するということだ。
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