インバウンド頼みだった化粧品ブランドの救世主になるか。アイスタイルは10月15日、アリババの越境EC「天猫国際」を活用した新システム「海外直送プロジェクト」を発表した。具体的には、アイスタイルが天猫国際内の海外直送店舗に開設したアットコスメの専用ページに商品を並べ、中国消費者から注文を受けたら日本のアリババの直送倉庫から航空便で7日以内に届けるという仕組みだ。メーカー(ブランド)側のメリットは、一つの商品からでも低リスク・低コストで直送の越境ビジネスに参入できること。中国未導入のブランド、商品を並べ、独自性の高い売り場を作り、日本ブランドや新規性の高い商品を好む中国の若年層を中心にアプローチする。当面の目標は月間販売数1000個。そこまで成長した商品は、アットコスメの天猫国際旗艦店での販売、天猫国際への出店、一般貿易へと販路拡大をサポートしていく。プロジェクトは30ブランド、50商品以上でスタート。そして21年4月頃までに、取扱商品数を200まで広げる考えだ。
懸念材料は、運送費や行郵税などのコストで、特に前者の状況は読み難い。同プロジェクトの輸送は、アリババのスマート物流サービス「菜鳥」の提携企業が担う。運送費はアリババの負担だが、送料は価格に転嫁されるため、実質負担するのは中国の消費者である。アリババのスマート物流はグローバル網を敷いており、スケールメリットを生かした規模削減効果は大きいはずだ。実際、20年だけでコストは10%も下がっているという。だが、「運送費と行郵税を考えると、500元以上の商品でないと割に合わないのではないか」(アリババ本社の元幹部)という懐疑的な声が少なくない。
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