前回の「化粧の時間旅行」http://u0u1.net/Pmho)では時短メークの起源について大正時代のメークを振り返りましたが、今回は現代のメーク時間についてお話します。

単身世帯、共働き世帯が増える現代では、ロボット掃除機、食器乾燥機など家事の時間を短縮してくれる時短家電が人気です。最近ではアプリを使って外出先から操作できるエアコンや洗濯機などにも注目が集まっています。

一方、化粧品メーカーからはベースメークとスキンケア機能を併せ持つBB・CCクリームや、複数のスキンケアステップが1品で済むオールインワンタイプの商品が発売され、化粧品本来の機能だけでなく時短効果も謳われています。

では、現代の化粧時間は短くなっているのでしょうか?

実は、メーク時間は年々長くなっているデータがあります。15~74歳の女性を対象にポーラ文化研究所が行った調査では、2018年のメーク平均時間は15.6分と4年前の15年より1.2分長くなっていました【図表1】。

図表1 メーク平均時間(基数:メークを行っている女性)

年代別にみると、若い年代においてメークに時間をかけている人が多く、特に10代後半のメーク時間が長い状況です【図表2】。18年における10代後半のメーク平均時間は平均22.7分。4年前より4分長くなっています。10代後半はポイントメークを重要と思っている人が多く、ポイントメークを中心に様々なアイテムを使い、じっくり時間をかけてメークをする若者の姿が浮かんできます。

図表2 年代別にみるメーク平均時間(基数:メークを行っている女性)

メークに時間をかける10代後半。この年代は学生も多くメークを行う人自体は20代以上と比べて少ないのですが、メークを行う人は年々増加しています(ポーラ文化研究所「みんなに聞きました!https://www.cosmetic-culture.po-holdings.co.jp/culture/survey/002.html)。

メークに時間をかける人が増えていくことは、メーク平均時間も長くなっていくことにつながります。若い年代のメーク志向が、今後のメーク時間の変化の鍵をにぎっているのかもしれません。(川上博子・ポーラ文化研究所 研究員)

※図表1・2は、ポーラ文化研究所提供

株式会社ポーラ・オルビス ホールディングス ポーラ文化研究所

ポーラ文化研究所は、化粧を美しさの文化として捉え、学術的に探求することを目的として1976年に設立されました。以来、日本と西洋を中心に、古代から現代までの化粧文化に関わる資料の収集と調査研究を行い、ホームページや出版物、調査レポート、展覧会などのかたちで情報発信しています。
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