コーセーは10月31日、2019年3月期第2四半期決算の説明会を開催した。売上高は前年同期比11・3%増の1609億9600万円、営業利益は同30・9%増の307億1200万円、経常利益は同36・2%増の326億1000万円、純利益は46・0%増の222億1400万円。売上高、各段階利益ともに過去最高を更新。売上高は6期連続、営業利益は4期連続の更新である。

営業利益の増減要因を見ると、高価格帯ブランドの増収効果が163億円。原価率は1・9ポイント改善の25・3%で、販管費率の効率化も加速(図1)。営業利益の売上比は、前年同期の16・2%から19・1%となり、コーセーのビジネスは好調に回っている。

 

(図1)原価率と販管費率の推移

コーセーの目標は、2026年に売上高5000億円。小林一俊社長が「当社もグローバルに。世界のお客様に存在感を出す」と指摘するように、海外売上高比率は23.3%から26・4%に拡大。売上高はアジアが51・0%増の232億4900万円、北米が3・3%増の174億9700万円である。

また、海外生活者との接点であるインバウンドの売上高は、同社の推計で53億円増の143億円に拡大。通期では250億円に達する見込みだ。

業績を引っ張ったのは、ハイプレステージブランド「コスメデコルテ」で、25・0%の増収と著しい成長を見せた。「国内はスキンケア、ベースメイク、ポイントメイク、サンプロダクツと、すべてのカテゴリーが好調」と牧島伸彦セレクティブブランド事業部長と説明。インバウンドも上昇傾向で、対象商材がスキンケアだけでなく、ベースメイク、サンプロダクツに広がっていることが大きい。また、日本だけでなく、世界13の国と地域(中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、タイ、マレーシア、フランス、イギリス、イタリア、スペイン、アメリカ、カナダ)と、展開地域も広がっている。

小林社長は、好業績の理由として、ポイントメイク、エントリーラインで新客を取り入れ、定番品の購入を促し、固定化するサイクルが上手く回っていること。流通面でも、国内の専門店、百貨店で好調を維持するとともに、海外ではトラベルリテール、ECなど新たな販路に対応していること。そして百貨店を中心としたインバウンド需要から海外の新販路までがシームレスに連動する体制が構築できていることを挙げた上で、次の点を強調した。

「海外、特にアジアの実績が良いことの要因は、アジア進出の歴史が非常に長いことがあります(図2)。ちょうど50年前に香港を皮切りに海外進出しましたが、中国進出も今年は30周年。好業績は直近のインバウンド需要の恩恵を受けているからと思われがちですが、その裏には、中華圏のお客様に時間をかけて、こつこつとブランドを紹介してきたことがあります。香港、中国、韓国も、なかなかうまくいかない時期もありましたが、それでも粘り強く続けてることで、中華圏のお客様にブランドが浸透し、グローバルかつシームレスなお客様づくりにつながっていると思います」

(図2)コーセーのアジア進出の歴史

コスメデコルテは、18年9月からTmall国際での販売を開始。専門教育を受けた専任オペレーターを要するカスタマーセンターをつくり、ネット上でも付加価値の高いチャット型カウンセリングを提供。コスメデコルテがこだわる価値の提案方法をECでも行える体制を整えている。「独身の日の予約販売は、我々も驚くような数字が上がってきている」と牧島セレクティブブランド事業部長は説明する。さらにトラベルリテールでは、10月1日にタイバンコクのスワンナプーム国際空港に初進出したほか、19年1月末に羽田空港セントラル免税店を全面改装する。コスメデコルテの通期予想は、売上高が600億円超、海外売上高比率が35%超になる見込みで、牧島セレクティブブランド事業部長は次のように語る。

「早期からの海外進出と地道な活動。アジア、欧米、免税、日本と、拠点がシームレスにつながる構造。近年の先を見据えた欧米への積極投資。カテゴリーと価格レンジが幅広く、多様なお客様に対応できる独自のプレステージブランドだと自信を持っている。2020年のオリンピックイヤーにデコルテは誕生50周年を迎える。さらなる飛躍拡大を確信している」

コーセーの成長は続きそうだ。