シワ改善の独自価値とは何か――。コーセーの商品開発は時間との戦いだった。当然、医薬部外品の承認を得なければいけないが、それだけではない。コーセーが商品開発を加速させる間に、資生堂は第2弾、第3弾の商品を発売、ポーラは海外展開を開始。シワ改善の3番手として、コーセーには明確な独自価値が求められ、商品開発のハードルは高くなるばかりだった。佐々木一郎商品開発部部長は「生きた心地がしなかった」と打ち明ける。

コーセーの結論は、真皮と表皮の両方から攻めること。シワ改善の仕組みを見ると、ポーラは真皮、資生堂は表皮からのアプローチ。その両方に同時対応する成分で、先行2社を追う考えである。

コーセー研究所(所長:林昭伸執行役員)は、複数のシワ改善成分を研究していたが、今回のキー成分としてビタミンBの一種「ナイアシンアミド」を選択。真皮と表皮それぞれに働きかけてシワを改善する効果に加え、様々な剤型への展開が可能な水溶性成分であることが決め手になった。油溶性成分のポーラ、資生堂とは異なる戦略が描けるからだ。

とはいえ、佐々木部長は「私たちは、真皮と表皮の両方にアプローチすることで、あらゆるシワに対応しようと考えていますが、一つの薬剤だけで差別化を図ろうとは思っていない」と話す。「ナイアシンアミド」は、汎用性の高い成分で、あらゆる企業が利用できる状態。いい換えれば「ナイアシンアミド」のみでコーセーの独自価値と呼ぶには心許ないわけだ。同社の原谷美典執行役員が「特に『iP.Shot アドバンスト』では『ナイアシンアミド』は脇役に近い」と話すのは、そのためである。