確かに、「iP.Shot アドバンスト」に配合している新開発の独自複合成分「iP-Solution AD」に「ナイアシンアミド」は配合されている。だが、それはシワ改善の効果をサポートするためで、主役は、16年10月の発売時から「iP.Shot」の商品力を支えるミトコンドリアの質に関する技術である。

ミトコンドリアは、細胞のエネルギーを産生するもの。産生過程で酸素を使うことから、エイジングケアの大敵・活性酸素も生むが、ミトコンドリア内に存在する抗酸化酵素SOD2(スーパーオキシドディスムターゼ2)は活性酸素を消去するという仕組み。コーセー研究所は加齢とともにSOD2の機能が低下することを発見。その知見を応用し、乾燥による小ジワを目立たなくする効果が認められた高機能美容液「iP.Shot」を開発した。

コーセー研究所は18年、老化メカニズム解明のための新たなアプローチとして、iPS細胞から皮膚線維芽細胞への分化誘導法を確立。元となる皮膚線維芽細胞、作製したiPS細胞、再誘導した皮膚線維芽細胞の三つのSOD2量を比較したところ、誘導した細胞は、元の細胞と比べてSOD2の量が顕著に上昇していることが判明。つまり、加齢によって低下するミトコンドリアの質は、iPS細胞を経て再誘導する過程で回復するということがわかった。佐々木部長が説明する。

「従来は、ミトコンドリアの酸化・劣化を遅らせることが価値でしたが、今回の『iP.Shot アドバンスト』では、ミトコンドリアの質を回復させる。偶然ですが、『ナイアシンアミド』は線維芽細胞にも効くため、シワ改善において相乗効果が期待できます」

(第4回に続くhttps://kokusaishogyo-online.jp/2018/08/5780・8月10日公開)