サンスターは8月31日11時30分から「アレルギーとハウスダスト対策の最新事情」に関する専門家セミナーと新商品発表会を開催した。室内環境中に存在する多様なアレル物質(アレルギーの原因となりえるダニのフン・死がいなどの物質のこと)を無力化するコンセプトを説明するとともに、9月5日発売の「アレリア シールドミスト」を紹介。売上目標は2020年までに国内のみで10億円。販売は商品説明が不可欠なことからEC中心。海外展開については各国市場のニーズを把握した上で考えるという。
サンスターグループ消費財事業統括アジア・日本ブロックの能美義之執行役員は、次のように意気込みを語った。
「今日、紹介するのは、オーラルケアやヘルスアンドビューティとは少しカテゴリーが異なるハウスホールド関連。我々の研究部門は、生活者自身の悩み、症状に対応するものだが、今回は視点を変えて、生活文化、健康に違うアプローチをとっている。生活空間からのアプローチができないか。それを事業の種として考えている。しかし、我々はパイオニアではないから、ユニークな方法で新たな価値を提案していかないと生活者に納得していただけない。無力化すれば、快適な空間を提供できるのではないか。今までと違うアレル対策を紹介する」
専門家セミナーでは、まず麻布大学医学部獣医学科微生物第1研究室の阪口雅弘教授が「2018年国際アレルギー学会における最新のアレルギー話題」について話した。それによると、アレルギーに対する環境整備は、世界中で行われており、小児科医・アレルギー専門医などの医療従事者、喘息環境整備などの研修を受けた保険従事者が家庭環境まで足を運び、アレルギーに対する環境整備を行う「介入」が行われている。家庭内対策に介入することでアレルゲン量が低下すると、アレルギー症状の緩和に結びつく研究成果も示した。
米国の研究結果では、環境整備による治療薬の減量(3300㌦/年間→2100㌦/年間)を確認。さらに、喘息患者に対する効果として救急病棟に行く回数が47%減、入院する回数は43%減になるという。
その上で、日本の住宅において高温・高湿のため、特に喘息の原因となるダニのアレルゲン量が多く、さらにペット飼育の家庭では高濃度のペットアレルゲンに暴露されることを解説。アレルゲン曝露が多い環境を重点に対策することで、効果的にアレルギー症状を緩和できる可能性があると示した。
次に、サンスターグループ研究開発本部基盤事業研究開発部ハウスホールド研究開発室の田中宏樹氏が「残留ハウスダストと新たなハウスダスト無力化成分」について説明した。
アレルギー疾患に関する診療ガイドライン推奨の対策方法は、1㎡当たり約20秒の掃除機がけを週2回以上、布団を週2回以上干すなどの7項目であるが、忙しい毎日を過ごす現代人が実行すのは難しい。
しかも、ハウスダストは丁寧に掃除しても残留するという。サンスターがカーペットに残るハウスダスト量を調べたところ、1回の掃除で除けた量は41%、2回目は8%、3回目は7%、4回目は4%、5回目は4%、6回目は3%。これだけ掃除機をかけても33%のハウスダストがカーペットに残ったという。
同社は、これを残留ハウスダストと命名。全てのハウスダストが取り除けないことに対して、それを無力化する解決策を提案する。無力化成分は、カチノキの葉にできる虫こぶから抽出・精製した植物由来タンニン酸。ダニのフン、ダニの死がい、シラカバ、スギ、ブタクサなど幅広いアレル物質に対して高い無力効果を持つ。これは2018年6月、第67回日本アレルギー学会で発表した。
最後に、新商品「アレリア シールドミスト」を9月5日に発売すると発表。室内の布製品にお手入れや掃除の仕上げにスプレーすることで、残留ハウスダストを包み込んで無力化。舞い上がりを防止することで、ハウスダストに含まれるアレル物質を抑制する仕組み。ターゲット層は、小学生くらいまでの子どもがいる30〜40代女性。掃除がアレル物質対策に有効であることを知るアレルギー症状への関心が高く、そのコントロールは親の責任だと考えている人である。価格は本体(290㍉㍑)が1500円、詰替え用(220㍉㍑)が1000円。9月12日からネット通販もスタートする。