サンスターが提案する「幸せな生き方」とは何か。それを具現化したのが、2019年10月1日に発売する新しい男性用トータルエイジングケアブランド「MAGMAS(マグマス)」である。同社は、健康寿命の延伸を至上命題に掲げ、商品開発に取り組んでいる。病気を煩わず、生き続けることは、一つの幸福のかたちだろうが、それだけでは生活者のニーズに応えきれない。社会性を保ち、孤独に陥らず、人間らしく生き続けること。それがサンスターがたどり着いた健康寿命を延ばす意義である。「マグマスが自信を持って幸せに生きる一助になることを願っている」とサンスターグループ消費財グループ統括アジア-日本ブロックの鈴木裕子執行役員(マーケティング担当)が説明するのは、そのためである。

サンスターが満を持して投入する男性向け新ブランド「MAGMAS」

マグマスの歴史は、ヘアケアで始まる。同社にとって50年ぶりの新しいヘアケアブランドと言えるもので、ターゲット層は、髪・頭皮の悩みで気持ちが浮き沈みする30代以上の男性である。同社が30代、40代の男性1051人を調査したところ、「いつの間にか、髪質や髪の量が変化したことに正直戸惑っている」と回答したのは38%。「髪・頭皮には最も加齢に伴う変化を感じるものの、最もケアの努力が報われない気がする」と答えたのは33%。そして「前向きに生きるために、髪をイキイキとキレイに見せることは重要である」には、実に66%が共感を示した。

毛髪内の亜鉛(イメージ図)

このような髪・頭皮の悩みに寄り添うために、マグマスの中心成分に亜鉛を採用した。サンスターによると、毛髪内部の亜鉛は、年齢とともに減少する。その結果、毛髪のハリ・コシが低下することも、同社の研究で明らかになっている。そこで同社は、髪の外側から亜鉛を浸透させることで、髪を内部から強くし、ハリ・コシを与える新技術を開発。これは従来の毛髪の外側に樹脂やシリコーンをまとわせ、ハリとコシを演出する技術とは一線を画したものだ。

マグマス毛髪強化(イメージ図)

この技術を生かした「マグマス シャンプー」は、内容量が400ミリリットルで、3200円(税抜)だ。同社マーケティング本部ビューティケアマーケティングVO5/TONICブランドマネージャーの新見隼人氏によると、「亜鉛導入シャンプー」は新規カテゴリーとのこと。その新規性を打ち出しつつ、特に40代前後の男性が抱く「自分の自信が削ぎ落とされる感じ」、つまり、あからさまなエイジングケアにまだ手を出したくないという揺れる気持ちに寄り添う。ポジティブにエイジングと向き合うことをサポートするとともに、亜鉛の効能効果で髪の力を最大限に引き出す「活毛」を後押し。自信を持って前向きに生きる気持ちを引き出し、積極的に行動するように背中を押す。新見氏は次のように説明する。

「マグマスの由来は、火山の内側に溜まっているエネルギーであるマグマ。そのマグマを爆発させるイメージと髪のボリュームが増す(マス)イメージを掛け合わせた。パッケージは、40代前後の生活空間に違和感なく受け入れられるシンプルで、上品なデザインを採用。価格帯にふさわしい上質感と高級感、手触りの良さなどにもこだわった。火山からマグマが湧き上がるシーンをイメージしたロゴマークは、お客さまの記憶に残りやすい」

マグマスは9月20日からAmazonで先行発売を開始。10月1日にAmazon限定で発売する。発売日が消費税が10%に上がる日になったのは、偶然だ。そもそも初年度はテスト販売という位置付け、20年の目標売上高1億円に向けて市場の動きを研究するから、消費増税は関係ないという。

同社の事前調査(30~69歳の男性654人)では、ECでシャンプーを購入する男性は、リアル店舗で購入する男性よりも、、亜鉛の作用に対する認知・興味度が高い傾向が強く出ている。これを実証するためにも、早期にAmazonで発売し、知見を溜め込む必要がると判断した。リアル店舗に強いサンスターにとっても、EC活用の強化は喫緊の課題で「失敗を恐れず、チャレンジする」と鈴木執行役員は意気込んでいる。そして新見氏も「髪を強くする亜鉛導入シャンプーカテゴリーを創造し、カテゴリーNo. 1を目指す」とマーケティング戦略に力が入る。

イメージキャラクターの「MAGMASMAN(マグマスマン)」

プロモーションのキーメッセージは「ずぶとく、生きろ。MAGMAS」だ。ブランドムービーに登場するのは、芸能人ではなく、「MAGMASMAN(マグマスマン)」というキャラクター。アニメ「ブラック・ジャック」のブラッドジャック役、アニメ「攻殻機動隊」シリーズのバトー役など、多くの作品に参加しているベテランの人気声優・大塚明夫氏を起用することで、ターゲット層の琴線に訴えていく。

人気声優の大塚明夫氏を起用

具体的には、ネット広告、タクシー広告、交通・屋外広告、ジムやホテルなどでの実体験プロモーションで、Amazonへの誘導を図っていく。

 

マグマスはヘアケアで終わりではない。中長期的にはスキンケア、ボディケアを投入し、総合男性用ブランドを目指す。販路はAmazonからリアル店舗に、販売エリアは日本国内からアジアに広げることを模索するはずだ。そして将来的な売上目標は数十億円と設定しているが、それはあくまでも通過点だろう。鈴木執行役員が「以前のヘアケアは、現在の主力事業であるオーラルケアを超える事業規模だった」と振り返ったとき、マグマスへの期待の高さが垣間見えた。