ライオンは、キユーピー、日本パレットレンタル(JPR)と共通トレーラーを利用した共同幹線輸送をスタートした。

近年の物流業界は、ドライバー不足、物流費の上昇、CO2排出量の削減などの課題が深刻な社会問題となっている。そのため安定的な輸送の実現には、持続可能な物流網の構築が必須。このような物流業界の課題を受け、共通の課題を持っていたライオン、キユーピー、JPRの3社が共同輸送について検討を開始。18年6月から関東〜九州間往復(総移動距離2811km)の共同幹線輸送(拠点に荷物を大量に集め、その拠点から別の拠点に輸送機関で運ぶ)のテストを実施した。

メーカー商品とパレットを搭載したトレーラーの共同利用

その結果、実車率(総移動距離のうち、実際に貨物を積載して移動した距離の比率)の向上、ドライバーの労働環境改善、CO2排出量の削減などの効果が得られ、18年8月22日から3社による共同幹線輸送を本格稼働したわけだ。

共同幹線輸送におけるポイントは三つ。

まずは、異業種の新たな協働であること。安定的な輸送の実現には、今後、業界業種を超えた協力が必要になる。 今回、トイレタリー業界のライオン、食品業界のキユーピー、レンタルパレット業界の JPRの異業種3社が共同幹線輸送に取り組み、本格稼働させたことは価値がある。今後は、業界業種に関わらず、パートナーとなり得る企業と積極的に取り組みを拡げ、持続可能な物流網の構築に挑む考えだ。

二つ目は、実車率99%超を実現したこと。総移動距離2811km(関東~九州往復)のうち、2797kmで貨物を積載するため、99% を越えた高い実車率が得られている。さらに車両の有効活用、ドライバーの労働環境 改善(運行スケジュールの明確化)、フェリーの定期便の利用により配車工数の削減も可能だ。

三つ目はCO2排出量の削減。船舶へのモーダルシフト、実車率の向上、ムダのない運行、車両の有効活用によって、個社単位での輸送時より、全体としてCO2排出量を62%以上低減できるという。

積載対象商品は以下の通り。

ライオン:ハンドソープ、ボディソープなど

キユーピー:調味料、加工食品など

JPR:物流機器(パレット)

※今回の共同幹線輸送は各社の輸送の内の一部。物流会社は、関光汽船が全行程の輸送を手配し、海運はオーシャントランス所有のオーシャン東九フェリーが輸送を行う。