――プレステージスキンケアブランド「SK-Ⅱ」は、日本だけでなく、アジア市場で躍進しています。その原動力は何でしょうか。

サンディープ・セス(以下、セス)それは消費者のことをよく理解し、そのニーズに合わせたものを提供しているからです。メーカーの気持ちが先に立つと、どんどん商品を出して買ってもらいたい、となりがちですが、私たちはそれを絶対にしません。時代とともに変化する消費者の疑問に答えるように、商品やコミュニケーションを展開していく。それが消費者の心に触れ、さらなるSK-Ⅱへの要求を顕在化させていきます。この好循環が業績に現れていると思いますね。

――2016年にスキンケア中心の商品構成にしましたが、それも成長につながっている。

セス 最近の消費者は「もっと欲しい」よりも「もっと少なくして欲しい」という傾向が強い。現代社会は、情報も物も溢れているからでしょうが、彼女たちは思考の混乱を招くものを取り除き、シンプルな方向に行きたいと考えています。我々がシンプルな提案を行うことで、消費者の人生や美しさに影響を与えられたらいいなと思っています。

――ブランド哲学への共感が広がっているのではないですか。

セス SK-Ⅱは年齢や国籍、人種を問わず、あらゆる消費者に受け入れられるブランドだと思っています。ビューティブランドの成功には、若い女性からの支持が不可欠ですから、その層へのアプローチも強化しています。彼女たちの人生はどんなものか。人生の最優先事項は何なのか。私たちは、お客様の人生における様々な矛盾や悩みといった障壁を理解し、その人のライフスタイルを把握することで、少しでもその障壁を取り除くお手伝いをしたいと考えています。その結果、お客様の運命をポジティブな方向に変えることができると信じているんです。

――と言いますと。

セス 各国の消費者に違いはありますが、共通項もあります。一つは年齢由来のプレッシャーです。例えば、20代ですと、良い仕事に就きたいとか、安定した生活が送りたいとか、良いパートナーに巡り会いたいとか。今後の人生プランを見据えて、パーフェクトに自分のミッションをクリアしていきたいと願うからこそ、それがプレッシャーになっている。それをビューティブランドとして取り去るお手伝いをしてあげたい。

――世界中の10~20代は、価値観が多様化し、自己表現も豊かです。シンプルな品揃えで、マスを捉えているSK-Ⅱは、この流れにどう対応していきますか。

セス 各国の消費者を見ていると、物を買うことへの興味は薄れ、どういう体験ができるのかということに目を向けています。SK-Ⅱは色々な商品を提供しており、これからもSK-Ⅱらしい商品を投入していきますが、大切なのは、価値あるExperience(体験)を生み出すことです。体験を通じた喜びを提供できるように、もっとパーソナライゼーションを追求していきます。

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