マンダムと名古屋市立大学なごや先端研究開発センターの富永真琴特任教授は、「温度受容体(細胞の感覚センサー“TRPチャネル”)の制御成分を活用した高機能化粧品の開発」により、「第51回井上春成賞」を受賞し、7月23日に贈呈式が執り行われた。

贈呈式の様子(於:日本工業倶楽部会館)
名古屋市立大学 特任教授 富永真琴氏(右)、井上春成賞委員会 委員長 橋本和仁(科学技術振興機構 理事長)(中央)、株式会社マンダム 社長執行役員 西村健氏の代理としてChief Technology Officer(CTO) 浅田拓二(左)

「井上春成賞」は、大学や研究機関などの独創的な研究成果を基に企業が開発・実用化した技術のうち、科学技術の進展や快適な社会の形成、経済の発展、健康福祉の向上などに貢献した優れた成果を、研究者と企業に贈る賞だ。今回の受賞は、化粧品使用時の刺激など生活者が抱える悩みの解決につながる技術が広く応用されたことを評価したもので、この分野では初の受賞となった。

受賞対象の「細胞の感覚センサー“TRPチャネル”の研究」は、化粧品や医薬部外品の使用時におこる不快な刺激感覚に着目し、富永特任教授とマンダムが2005年から20年にわたり取り組んできたものだ。その中で、ワサビの主成分の受容体であるTRPA1が防腐剤のパラベン類、ヘアカラーに配合されるアルカリ剤、まれに皮膚上での感覚刺激の原因になる中鎖アルコール、または、眼や鼻に混入すると痛みを引き起こす低浸透圧液により活性化し、刺激の原因になっていることを突き止めた。

さらに、TRPA1の抑制剤である「炭酸アンモニウム」「ユーカリプトール」、および、「イソボルニルオキシエタノール」などの化粧品に使える安全な成分を見いだした。また、酸などの一部の化粧品成分によるTRPV1の活性化も不快感につながることから、「メントール」「メンチルグリセリルエーテル」といった清涼成分や、植物抽出液である「カミツレエキス」がTRPV1の抑制効果を持つことも見いだした。

これらのTRPA1、TRPV1抑制剤は08年以降、感覚刺激の少ないヘアカラー、クレンジング、清涼化粧品、ウェットシート剤、シャンプー、スキンケア剤などに、その応用が広がっている。

マンダムと名古屋市立大学は、今後も生活者にとっての「新たな価値づくり」を目指し、TRPチャネルのさまざまなメカニズム解明や活性制御成分の探索などの研究開発を継続的に取り組んでいくとしている。