I-neの自社研究所「日本美科学研究所(Japan Beauty Institute of Science and Technology 通称・以下JBIST)」は、ミヨシ油脂との協働により、イオン液体技術を活用した独自処方を新たに開発し、「キューティクル遮断膜浸透技術」を確立した。
同技術は、さまざまな有効成分を効率的に毛髪深部へ届けることを可能にするとともに、複数回の塗布によって成分が毛髪内部に蓄積することも確認した。これにより、特にヘアケア製品において、より高い効果実感を与えられると考えられる。
ヘアケア製品には保湿成分や補修成分といった毛髪に必要な成分が多く配合されている。一方、その効果を高めるためには、ただ配合するだけでなく、成分を毛髪の内部まで届けることが重要だ。特にダメージを受けた毛髪では、有効成分を効率よく内部に浸透させることが、髪質の改善のために必須となる。
一方で、毛髪内部には成分の侵入を妨げるバリアとなる層が存在すると考えられている(※1)。同社ではこのバリアを、便宜的に「キューティクル遮断膜」と呼称している。このキューティクル遮断膜の存在により、配合した成分が必ずしも毛髪内部の目的部位まで到達できるとは限らない。そのため、有効成分を効率的に毛髪深部へ届ける新たな浸透技術の開発が求められている。
今回、特定の成分を組み合わせ、イオン液体として作用する原料「LIQUBELLE 4C(※2)」を使用した。このLIQUBELLE 4Cは、キューティクル遮断膜の構造を一時的に緩めることで、成分の浸透性を向上させることが期待される。さらに、毛髪内部のアミノ酸等と相互作用することで、浸透した成分が再度外部に出ていくことを防ぐことも見込める。
検証の一例として、LIQUBELLE 4Cと加水分解ケラチンを組み合わせたところ、加水分解ケラチン単体と比較して毛髪への浸透性が向上すること、さらに、複数回の塗布により、毛髪内での成分蓄積量が増えていくことも確認した。
■採用した技術に関するデータ(※2)
【評価方法】
1.浸透効果の確認
LIQUBELLE 4Cおよび標識加水分解ケラチンを含む試料を調製し、毛髪へ塗布後、蛍光顕微鏡を用いて浸透性を確認した。
2.複数回連用による成分定着の確認
LIQUBELLE 4Cおよび標識加水分解ケラチンを含む試料を調製し、毛髪へ塗布後、乾燥させるというサイクルを複数回繰り返したのち、蛍光顕微鏡を用いて成分の蓄積量を確認した。
【評価結果】
1.キューティクル遮断膜浸透技術の有無による加水分解ケラチンの浸透効果の比較
浸透効果:イオン液体技術を活用することで、加水分解ケラチンが毛髪深部まで多く浸透する。
2.キューティクル遮断膜浸透技術を用いた試料での複数回使用加水分解ケラチンの蓄積効果の比較
定着効果:複数回毛髪に適用することで、加水分解ケラチンの毛髪深部での蓄積量が増加する。
イオン液体技術を活用することで、有効成分を毛髪内部により効率的に届けられることが示唆された。また、複数回使用することで、成分が毛髪深部に蓄積していくことも示唆された。同技術は、ヘアケア製品の効果を高めるための技術革新の一助となると考えられる。

①毛髪内部には成分の浸透を妨げるバリアとなる「キューティクル遮断膜」が存在。
②LIQUBELLE4Cが、キューティクル遮断膜の構造を一時的に緩める。
③キューティクル遮断膜が緩むことで、美容成分の浸透性が向上。
※1Takahashi T., International Journal of Cosmetic Science, 41(1), 28–35, 2019.
※2出典:ミヨシ油脂
【用語説明】
イオン液体:カチオン・アニオンからなる、常温で液体状態を保つイオン化合物。さまざまな物質に対する溶解性が高いことや、高いイオン伝導度を持つなどの特徴を有し、工業分野など幅広い分野で活用されている。ヘアケア製品においては成分の浸透促進剤としての役割を果たす。
加水分解ケラチン:毛髪の主成分であるケラチンタンパク質を小さく分解したもの。毛髪のダメージ部分を補修し、強度や弾力性を高める効果がある。























