6月中旬、パリで開かれたVivaTech 2026に足を運んだ。会場で聞こえてくるのは、AIが仕事をどう変えるのか、生産性をどこまで高められるのかという話ばかりだった。米国では若者を中心に、AIに職を奪われるのではないかという不安が広がっているという。日本も、遠い国の話として聞き流すわけにはいかない。パリは6月とは思えない暑さだった。連日30度を超え、40度に迫る日もある。冷房のないレストランに入ると、食欲より先に汗が出る。娘と息子に頼まれた土産はチョコレートだった。せっかく選んでも、溶けてしまうのではないか。そんなことが妙に気になった。VivaTechでは、サステナビリティやエネルギーの話も大きなテーマだった。AIは便利で、仕事を速くする。だが、その裏側では膨大な電力を使う。技術の進歩と環境負荷は、もはや別々には語れない。夜、レストランのテラス席でワインを飲みながら、そんなことを考えていた。気づけば時刻は深夜0時30分。昼間の熱気はまだ街に残っていた。子どもたちへのチョコレートが溶けないかを気にしながら、便利さの先にどんな社会を手渡せるのか、夜更けのパリで考えていた。

月刊『国際商業』2026年08月号掲載