年頭にあたり、謹んで新年のお慶びを申し上げます。平素より、当社への格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。昨年4月にP&Gジャパンの社長に就任し、初めての新年を迎えました。改めて、身の引き締まる思いでございます。

2025年は引き続き、インフレや物価上昇、構造的な人口減少による人手不足、AI実装といったデジタル化など、業界や消費者を取り巻く環境の変化がますます加速した一年でした。

そんな中、当社では、P&Gのイノベーションの原点である「深い消費者理解」をさらに強化し、消費者の暮らしをより豊かにする革新的な製品をお届けすることで、昨年も堅調な事業成長を実現し、市場の成長にも貢献できました。これもひとえに、日頃よりご支援いただいている流通パートナーの皆様のお力添えのおかげです。この場を借りて、心より感謝申し上げます。

昨年は9月に、2030年に向けた当社の中期ビジョン「JAPAN2X30(ジャパン・ツーエックスサーティー)」を発表いたしました。スローガンは、「Beyond Peaks, Expand Horizon-頂きを超え 地平を拓く」です。このスローガンには、「現状に甘んじることなく、さらなる高みを目指していく」という、当社の思いが込められています。

2030年は、「人口動態」の転換期になると言われています。少子高齢化がさらに進み、65歳以上の人口が、全体の三分の一に達します。また、単身世帯が、全世帯の4割に達するとも言われています。P&Gでは、こうした人口動態の変化をチャンスととらえ、当社の強みである消費者理解を更に推し進めてまいります。

このビジョンの実現に向けて、4つの重点領域を定めています。

一つ目は、「①圧倒的な製品力をもつイノベーション」です。変化する消費者の暮らしに寄り添い、従来の枠を超えた革新的な製品を通じて、これまで以上の市場成長を目指してまいります。

次に、そのイノベーションを消費者に届けるために非常に重要となる「②業界価値の創造」と「③デジタルの推進」です。業界全体が人手不足や物流課題に直面する中、当社では市場成長だけではなく、メーカー、卸、小売が一丸となり、製品を迅速かつ効率的に店頭まで届けるサプライチェーンを構築するなど、業界全体の付加価値の創造を目指します。また、AIなどのデジタル技術とデータサイエンスのさらなる推進により、店頭での欠品率を改善するなど、流通パートナーの皆様との協働のもと、今まで以上により良いお買い物体験を消費者に提供してまいります。

最後は、P&Gの事業成長の源泉である人材です。3つの領域での取り組みを実現するため、日本発、グローバルに活躍できる「④人材の育成」に、引き続き注力してまいります。

私は、どのような状況においても、「意思のあるところに道は開ける」と信じています。2030年に向け、人口のさらなる減少など国内市場への逆風がさらに強まる中、当社の新たな中期ビジョンのもと、流通パートナーの皆様との協働を通じて、市場の拡大と業界のさらなる活性化に向けて取り組んでまいります。

最後に、2026年は午年にふさわしく、新たなビジョンの実現に向かって、さまざまな取り組みを積極的に推し進め、力強く前進していく所存です。つきましては、本年も引き続き、皆様からのご支援を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。また、皆様にとりましても、新しい年が素晴らしい一年になりますことを心よりお祈り申し上げます。

 

木葉慎介(P&Gジャパン合同会社 社長)