牛乳石鹼共進社、小林製薬、サラヤ、サンスター、大日本除虫菊、マンダムの関西消費財メーカー6社、あらた、PALTACの卸2社、ツルハの小売1社、関光汽船、新日本海フェリー、トランコムの物流3社は、経済産業省委託事業「令和4年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用した流通レジリエンス構築に向けた事例創出)」(委託事業者:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)において、電子タグ(RFID)を活用した大規模災害を想定した被災地への共同配送による流通・物流網構築に向けた実証実験を3月6~9日に実施する。

消費財サプライチェーンは、国民の消費生活を支えるライフラインであり、平常時だけでなく、災害等の非常時・緊急時における機能維持も重要だ。地震・豪雨等災害により交通インフラが寸断された場合に備えた対応は大きな課題。特に日本は人口の約8割が太平洋側の地域に集中しており、台風などによる風水害や今後の巨大地震も太平洋側で多く発生すると見込まれることから、太平洋側に大規模災害が発生した場合、安定した物資供給は困難になると想定されている。

こうした課題への対応の一つとして、大規模災害が生じた場合でも物資供給を円滑に行うため、生活必需物資を扱うメーカー・卸・小売間のサプライチェーンにおける在庫情報や輸送情報のリアルタイム共有や柔軟な物資供給ができる環境整備を図ることが重要と考えられる。

そこで同事業では、電子タグ(RFID)などIoT技術を活用した輸送物資の見える化を図るとともに、非常時・緊急時に被災していない地域から被災地への迂回路も含めた流通・物流網を構築する上で参考となる事例を創出すべく実証実験を実施。

この実験では、大規模災害時における代替配送ルートによる店舗販売用生活必需物資の供給について、複数メーカーによる共同配送を行うとしている。

具体的には、太平洋側で発生した地震津波等の大規模災害により関東圏への主要幹線道路等(東名高速道路等)が寸断され物流網が破綻した際に、西日本から日本海における重要な物流拠点である新潟を経由して関東および東北地方へ配送することを想定し、海上輸送、陸上輸送の二つの経路による共同配送を検証。

また、配送される商品に電子タグ(RFID)を貼り付け、メーカー(製造)から店舗(小売)までの配送経路において、いつ、どこに、何が、どれだけあるのかをリアルタイムで把握できる仕組みを構築し、有効性を検証する。

1月に先行実施した海上輸送パターン実証実験では、関西消費財メーカー6社の商品を関西物流拠点に集約し、敦賀港から新潟港までフェリーを活用し、関東卸物流拠点まで共同配送を行った。実験では物流拠点や敦賀港・新潟港において商品ケース群等に貼付された電子タグ(RFID)を読み取り、情報共有システムに載せることにより、メーカー・卸は生活必需物資がいつどこにあるかを即時に把握可能であることを確認できている。

今回実施する陸上輸送パターン実証実験では、関西地方から東北地方へ至る長距離を、メーカー・卸・小売の複数物流拠点でトラック間の積み替えを行いながら、複数のトラックが連携した共同配送を行う。その際、積み残しや積み間違い等の問題が生じることなく、確実に小売店舗へ生活必需物資を供給可能であることを検証する予定だ。

災害時、被災地における物資不足および過剰在庫を解消するための取り組みとして、注目される実証実験だ。