現状に満足せず高みを目指す

P&Gジャパンは2026年6月期から中期ビジョン2030に取り組んでいる。20年にスタートした中期ビジョン2025はコロナ禍の影響を強く受けたものの、ビジネス、人材、社会貢献の3領域で目標を達成。流通パートナーとの協業ではデータ連携やサプライチェーンの効率化が進み、在宅勤務の普及が対面教育の価値を浮き彫りにし、新しいトレーニングプログラムを確立。社会貢献では社外向け研修プログラム「インクルージョン研修」「アライ育成研修」の提供数が1000社を超えるなど、日本社会のインクルージョン推進に一役買った。これらの成果が生んだアセット(資産)とともに、洗濯洗剤、フェミニン、グルーミング、オーラルケア、スキンケアがけん引役となり好調だった25年6月期の業績の勢いを生かし、新中期ビジョン2030のスタートダッシュを図る考えだ。

特にP&Gジャパンが注視するのは、30年の消費者像である。65歳以上のシニア層は人口の3分の1を占める。単身世帯の40%は男性になる。そして労働者不足は深刻になり、社会のデジタル化は一段と進み、現在に日本の風景は一変しているに違いない。だから中期ビジョン2030では、現状に満足せず高みを目指すこと、さらに現状の枠組みにとらわれず、新しい変化、新しい改革を起こし、より高みを目指すことを重視。その上で、四つのポイントとして、圧倒的な製品イノベーション、業界価値の創造、デジタル活用、グローバル人材の育成を挙げている。「シニア層と男性単身世帯という二つの消費者層は、市場拡大に重要な存在になる。われわれは、さらに理解を深めなければいけない」と営業統括本部山田敦執行役員は説明する。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

ログイン