日本化粧品技術者会(SCCJ)は、化粧品の研究開発から製造販売に携わる技術者への情報提供と交流を目的とした学術団体である。5年前から運営改革「Vision 2025」に取り組み、学術発表と研究者の交流を兼ねたオープンな学術大会の実施、日本の化粧品科学・技術の世界発信強化、次世代研究者の確保を担う学生会員制度導入など、化粧品研究の発展に力を注いでいる。こうした取り組みの背景には、日本の研究開発力が将来的に衰退しかねないという危機感がある。例えば、世界の研究者が成果を競う「IFSCC Congress 2025カンヌ大会(以下、カンヌ大会)」では、韓国OEM企業が基礎研究部門で最優秀賞を獲得。韓国企業の受賞は初めてであり、OEM企業としても前例のない出来事である。この変化は、国際舞台での勢力構成が変動していることを示唆している。日本が圧倒的な研究力を示すために何が必要なのか。SCCJの𠮷田会長に話を聞いた。

加齢に抗うことから人生の質の最大化にシフト

――日本の化粧品研究は、競合国に追い付かれたのでしょうか。

𠮷田 IFSCCで発表するには、国籍や所属企業などの一切の情報が伏せられた厳密な事前審査を通過する必要があります。完全なブラインド審査であるにもかかわらず、日本は最優秀賞の受賞数で世界トップに立ち続けていますから、依然として研究レベルは世界有数と言えます。しかし、近年の動向を見ると、日本のポジションは安泰ではありません。

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