ロート製薬

超低分子ヒアルロン酸による光老化抑制効果を発見

ロート製薬は、健康的な肌を維持し、目や皮膚などあらゆる組織に備わる成分であるヒアルロン酸に着目し、その多様な機能と可能性の研究を進めている。今回、愛媛大学大学院医学系研究科皮膚科学武藤潤先生との共同研究にて超低分子ヒアルロン酸であるオリゴヒアルロン酸4糖(以下、HA4)の光老化抑制効果に関する研究を行い、新たな抗炎症・抗老化メカニズムの解明に至った。同研究の成果は、2025年5月7〜10日に米国サンディエゴで開催された「2025 SID Annual Meeting(米国皮膚科学会年次総会)」にて発表された。また、同研究論文は25年6月5日に国際的なオープンアクセス科学誌である「Frontiers in Immunology」(電子版)に掲載された。

タイトル:Targeting Inflammatory Macrophages with Hyaluronan Tetrasaccharide:Effects on Fibroblast Collagen Degradation and Synthesis

URLhttps://www.frontiersin.org/journals/immunology/articles/10.3389/fimmu.2025.1592751/abstract

HA4とは、ヒアルロン酸の最小単位である四つの糖が結合した、超低分子ヒアルロン酸。通常のヒアルロン酸よりも小さいため、肌への浸透性が高く、特有の生理活性を持つと考えられている。また、光老化とは、紫外線による慢性的な皮膚ダメージによって引き起こされる老化現象。シワ、シミ、たるみなどの原因となり、通常の加齢による自然老化とは異なるメカニズムで進行する現象だ。

研究成果のポイントは三つ。

HA4が光老化した皮膚で増加する炎症性マクロファージの分極誘導を抑制し、炎症性サイトカインの発現を低下させることを確認

HA4が光老化で低下する繊維芽細胞のコラーゲン産生能を改善することを発見

HA4を配合した光老化対策のスキンケア製品開発への応用に期待

今回の研究成果は、超低分子ヒアルロン酸であるHA4が単なる保湿成分ではなく、光老化に起因する炎症やコラーゲンリモデリングを制御する新たな成分として、スキンケア製品へ応用される可能性が期待される。

また、光老化に関与する皮膚の細胞間相互作用(クロストーク)について理解を深めることで、皮膚老化メカニズムの解明にも貢献すると考える。今後、同研究が進展すれば、超高齢社会において健やかな肌を維持するための科学的基盤となることが期待され、美容・健康の両面から人々の生活の質(QOL)の向上に寄与することが望まれる。