資生堂は、2025年7月11~20日までの10日間、2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)の河瀨直美テーマ事業プロデューサーが担当するシグネチャーパビリオン「Dialogue Theater-いのちのあかし-」の会場内にて、”Beauty Dialogue 美の対話”をテーマとした「Shiseido Week(資生堂ウィーク)特別企画」を開催する。

10日間のうち、7月11~14日までの4日間は、同会場内「対話シアター棟」にて、同社の感性研究である「香りを用いた共感体験」の実証実験を来場者参加型で行う(図1)。

図1:対話シアター棟での実証実験「香りを用いた共感体験」

これは、人とのつながりの希薄化や孤独・孤立問題が懸念される現在において、「香り」に人々の関係性をより良い方向性に変えられる力があるか実証するものだ。

会場となるのは、同社が協賛・技術協力をしている、シグネチャーパビリオン「Dialogue Theater-いのちのあかし-」。河瀨直美テーマ事業プロデューサーが担当する「いのちを守る」をテーマとしてパビリオンで表現する「対話」や「多様性」の大切さは、同社が目指す「美の力を通じて人々が幸福を実感できるサステナブルな社会」の実現に向け、重要な要素であると考えている。このシグネチャーパビリオンにおいて、同社の有する技術がどのように貢献できるか、万博という多様な人々が集まる場で検証を行う。

近年、単身世帯の増加、働き方の多様化、インターネットの普及などの社会変化により、家族や地域、会社などでの人々のつながりが希薄化している。この結果、孤独や孤立状態に陥る可能性が懸念されている(内閣府孤独・孤立対策推進室「人々のつながりに関する基礎調査」調査報告書〈令和6年〉参考)。またSNSなどオンライン上で人とつながれる技術が発展する一方、より深く心でつながりたい、相手をよく知りより良いコミュニケーションを実現したいというニーズも高まっている。

こうした社会背景を踏まえ、同社が40年以上にわたる化粧に関する感性科学の研究により蓄積してきた、製品使用時の心地よさや感情を数値化するような「(一人の)心の見える化」をする技術を応用し、二人以上の複数名の行動や感情、生理指標を同時に計測、その関係性を可視化する取り組みを始めている。同社は、その一環として「香りによる共感を高める効果」の仮説の実証実験を実施する(「香りによる共感を高める効果」については、今後発表を予定している)。

同実証実験は、資生堂の研究領域の一つであるFuture Beauty Innovation「肌・身体・心」のつながりの解明をはじめとする新領域・新カテゴリーへの挑戦と、新ビジネス基盤創出の一環として実施する。

企画内容は下記の通りだ。

1.来場者参加型の実証実験「香りを用いた共感体験」の実施

7月11~14日までの4日間、対話シアター棟(図2)にて来場者からランダムに選ばれた一人が、スクリーン越しの初めて出会う対話者と、「美」に関するテーマで対話する。観客は二人の対話を自身の考えと比較しながら、映画を観るように鑑賞する。同社は対話時の二人の心を可視化し、「香り」に人々の関係性をより良い方向に変える力があるのか、という問いに答える実証実験を行う。

図2:「対話シアター棟」外観

2.「心の動きをわかちあうBeauty Dialogue」の実施

テクノロジーが発達する中、あえて「誰かに手紙を書く」ことや、「直接目の前のひとに気持ちを伝える」という行動によって、人間本来の心の動きや他者を思う気持ちを見つめなおす時間を分かち合い、より良い世界へ向かう第一歩としたいと考える。

<毎日開催>7月11~20日までの10日間、「森の集会所」にて、「Beauty Dialogue Letter & Post」(図3)を設置する。来場者は、大阪・関西万博を訪れ心が動いた美しい瞬間を、ブランド「SHISEIDO」特製のレターセットにしたため、このポストへ投函することで、国内外の大切な人に送ることができる(無料。一人1通まで。1日の上限に達し次第、その日の実施を終了する)。

図3:Beauty Dialogue Letter & Post

<金土日の17:00-19:00開催>期間中7月11~13日、7月18~20日の計6日間の夕方、来場者参加型のイベント「Beauty Dialogue Night」を開催する。来場者の中から任意の二人に「森の集会所」内特設スペースに参加してもらい、その瞬間に相手に伝えたい気持ちをボードの裏表にそれぞれ書き込み、その場で相手に伝える企画(同意した人の動画はウェブサイト〈https://brand.shiseido.co.jp/expo2025/?rt_pr=trs75〉に掲載予定)。同企画は16年よりブランドSHISEIDOが実施しているイベント「YOU ARE BEAUTIFUL TO ME,BECAUSE・・・」(https://www.youtube.com/watch?v=-jnfMW_y0go)を日本で初めて実施するものだ。

3.SHISEIDO アルティミューンの香りによるおもてなし

対話シアター棟で渡す対話カードへの賦香、森の集会所でのディフューザーによる空間賦香では、SHISEIDO アルティミューンのくつろいだ気分とエネルギーに満ちた感覚を感じられる香りを届ける。大阪・関西万博の記憶と共に、SHISEIDO アルティミューンの香りを持ち帰れるアロマカードを、森の集会所で配布する。

「SHISEIDO アルティミューン™ パワライジング セラム」は、SHISEIDOを代表する美容液。グリーンフローラルの香りが、心地よい気分にいざなう。資生堂では、1980年代から香りの生理的心理的効果を解き明かす「アロマコロジー研究」を実施しており、アルティミューンの香りも、アロマコロジー研究に基づくものだ。

「香りを用いた共感体験」では、森の集会所内感性研究体験機器で体験者の二人は向かい合い、お互いの顔を見ながら自由に対話を楽しむ(図4)。対話中、同社の感性研究技術により、体験者双方の表情から感情に関わる情報を読み取り、「共感」の度合いを計算、共感したタイミングで香りが空間に放出される。体験後には、香りの提示された回数と最大共感度の結果を見ることができる。この体験は、Shiseido Week(資生堂ウィーク)特別企画として実施する対話シアター棟での実証実験のステージに立たない人でも、同様の体験ができる機器として準備している。

なお、空間芳香には、ソニーが独自のにおい制御技術Tensor Valve™テクノロジーを用いて開発した「Grid Scent™(グリッドセント)」を採用している。

図4:森の集会所での常設体験「香りを用いた共感体験」

資生堂は、2030年のビジョンとして、生涯を通じて一人一人の健康美を実現する「Personal Beauty Wellness Company」を掲げ、美の力を通じて人々が幸福を実感できるサステナブルな社会の実現を目指している。今回の大阪・関西万博で実証実験を行う感性研究の成果は、同社の化粧品やサービスの価値開発に応用し、革新的な感性価値の創造につなげていく予定。一人一人が生涯を通じて自分らしい健康美を実現できる社会を目指し、新しい感性研究・技術と、心と心のつながりの強化を実現し、五感研究・技術によって、お客同士のつながりをサポートしていく。