エステーの2025年3月期連結決算は、売上高が前年同期比8.2%増の481億1400万円、営業利益15.1%増の15億4400万円、経常利益2.1%増の19億7000万円となり、増収増益を確保。負ののれん発生益の増加や営業オフィスの見直しに伴う近畿支店の固定資産売却等により特別利益が増加したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は155.7%増の32億5900万円となった。
増収の主な要因は主力のエアケア分野で「消臭力 Premium Aroma」シリーズなど高付加価値製品が好調だったことのほか、24年6月に花王から「ニャンとも清潔トイレ」事業譲受したことによるペットケア分野の収益が大きく寄与した。
カテゴリー別売り上げでは、消臭芳香剤などを含むエアケアが4.2%増の211億900万円と、売上全体の約44%を占める基幹分野として引き続き成長した。「消臭力 Premium Aroma For Sleep 寝室用」や「消臭力クリアビーズ イオン消臭プラス」などの新製品が需要を取り込んだ。
ペットケア分野(猫用トイレ用品)は前期の1億6500万円から大幅に伸長し、35億9600万円。今期から独立したカテゴリーとして開示されたこの分野は、事業譲受を受けて本格展開された初年度にして売り上げ全体の約7.5%を占めるまでに拡大している。
一方で、衣類ケア(防虫剤)は4.3%減の68億3400万円。「ムシューダNOTE」に新たに「引き出し・衣装ケース用」を追加、「ムシューダPremiumAroma」シリーズでは上質で可憐な金木犀の香りを新たに発売し、市場活性化に努めたものの、店頭露出低下により「ムシューダクローゼット用」「ムシューダウォークインクローゼット専用」といった既存の主力品が低迷したことが足を引っ張った。
湿気ケア(除湿剤)は4.1%減の27億6300万円。つめかえできる省ゴミタイプの「ドライペットコンパクト」が伸長した一方、原材料価格の上昇に応じた販売価格の見直しにより除湿剤の需要が抑えられた他、前期から継続して高付加価値品へシフトを進めたことにより使い捨てのタンクタイプが減少した。
サーモケア(カイロ)は3.0%減の40億9500万円。今冬の気温の影響によりシーズン後半にかけて市場が回復したものの、前シーズンの返品が見込みより多かった影響や、他社との差別化ができず既存の使い捨てカイロがメインになり、需要の掘り起こしにつながらなかった。
ハンドケア(手袋)は4.8%減の53億8400万円。衛生意識の高まりによる需要が落ち着いたこともあり、海外向けの手袋の落ち込みが響いた。
26年3月期通期業績は、売上高9.5%増の527億円、営業利益61.8%増の25億円、経常利益が42.1%増の28億円と増収大幅増益を見込む一方、前期に計上した特別利益がなくなるため、親会社株主に帰属する当期純利益は50.9%減の16億円と減益を見込む。
エステーは中期経営計画「SMILE 2027」のもと、主力のエアケアやペットケアのラインナップ強化とともに、広告宣伝やDX投資、人材育成などの基盤整備に注力。既存事業の効率化とブランド戦略の両立を図り、持続的な成長を目指す。