エステーの2023年3月期決算は、売上高が前期比0.2%増の455億7600万円、営業利益は同25.7%減の24億1600万円、経常利益は同21.6%減の27億3000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同64.9%増の18億2800万円となった。

売り上げは、新型コロナウイルス感染症に伴う需要が落ち着き主力カテゴリーであるエアケアと衣類ケアが減少したものの、差別化商品や高付加価値品へシフトしたサーモケアや湿気ケアの他、新規事業へ積極的に取り組んだホームケアが増加。計画未達だが、増収となった。

利益面では販売費及び一般管理費の抑制に努めたものの、原材料の値上げや円安による仕入コストの上昇により売上原価が増加した他、感染拡大の落ち着きなどにより除菌コート剤等の棚卸資産評価損を計上したため、営業利益は2桁の減益。また、持分法による投資損失の減少により、経常利益も減少した。親会社株主に帰属する当期純利益の大幅増は前期の減損損失がなくなったため。

カテゴリー別の売上高をみると、エアケア(消臭芳香剤)はプレミアム化が進み、「消臭力 Natulief 玄関 リビング用 リードディフューザー」はデジタル販促により伸長、Premium Aromaシリーズの「玄関・リビング用 消臭力 Premium Aroma」等の高単価・高付加価値品が堅調に推移。一方で既存の主力品である「玄関・リビング用 消臭力」の伸び悩みや、「消臭力 DEOX トイレ用」の落ち込みにより、同1.1%減の197億5700万円。

衣類ケア(防虫剤)は、「ムシューダ」シリーズをリニューアル強化。しかし、昨春の衣替えシーズンの展開を前倒し、「ムシューダ 引き出し・衣装ケース用」や「ムシューダ 洋ダンス用」など主力品の落ち込みにより、同2.8%減の79億8600万円となった。

サーモケア(カイロ)は、高付加価値ライン「はるオンパックス Airy(エアリー)」を発売。主に貼るタイプの使い捨てカイロが増加した他、海外への輸出が増加し、同8.0%増の47億1200万円と好調だった。

ハンドケア(手袋)は、海外子会社での販売が伸長し、同0.2%増の58億4400万円と前年と同等だった。

プレミアム化を推進する湿気ケア(除湿剤)では、「備長炭」シリーズが伸長。通常のタンクタイプの除湿剤も増加したこともあり、同4.9%増の29億8400万円だった。

ホームケア(その他)は、テレビCMとSNSの統合展開により堅調に推移したお米の虫よけ「米唐番」、成長するペットケア市場において「エステーペット」を発売したこと等により、同1.5%増の42億9000万円となった。

24年3月期通期業績は、売上高は同1.7%の463億5000万円、営業利益は同1.4%増の24億5000万円、経常利益は同2.5%増の28億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同3.9%増の19億円を見込む。