ペットと人の共生社会に向けて進化を続ける展示会「インターペット2025」が、2025年4月3〜6日の4日間、東京ビッグサイト東1〜8ホールにて開催された。第14回目の開催となった今回は、過去最多となる980社(国内710社・海外270社)が出展。来場者数は7万7878人を記録し、前年の実績を大きく上回る盛況ぶりとなった。
本展の特徴は、ペットフードやケア用品にとどまらず、ファッション、テクノロジー、災害対策、旅行、住宅建設など、幅広い業種が出展している点にある。とりわけ今回は、初登場の「ペット防災ゾーン」と「ペットテックゾーン」が来場者の関心を集めた。「ペット防災ゾーン」では、地震などの災害を想定した同行避難体験プログラムも実施され、飼い主とペットが共に避難する重要性を実践的に発信。一方「ペットテックゾーン」では、海外メーカーが出展の中心となり、全自動猫トイレ、ペットカメラなどの他、温熱機能の付いたドーム型シートと健康管理機能を備えたマルチ空気清浄機や、ペット用スマートベッドなど、ペットとの生活をより快適にする最前線の技術が披露された。
また、猫特化の特別企画「インターキャッツ」も人気を博し、猫用品ブランドや猫向けコンテンツの市場拡大を感じさせた。
セミナープログラムも充実。業界のキーパーソンによるパネルディスカッションや講演が実施された。初日の「ビジネスフォーラム①『ペット業界の現状と将来展望』」では、動物病院協会やペットフード協会、ペット用品工業会の各代表が登壇し、業界の直面する構造的課題や規制、今後の市場動向について意見を交わした。また同日の「ビジネスフォーラム②『将来性のある新商品および新サービスとは?』」では、Amazonやマルカンの幹部らが次代のヒット商品像とユーザーニーズの変化を論じ、今後のペット市場のビジネスに関する展望を明らかにした。
2日目には「ビジネスフォーラム③『注目されるペット業界のコト消費とは?』」が開かれ、ファイターズスポーツ&エンターテインメント、スクウェア・エニックス、NUクリニック、イオンペットなど異業種・医療・エンタメが交差する事例を紹介。ペットを軸とした体験型サービスや共感型マーケティングの可能性に注目が集まった。
さらに「防災とBCP(事業継続計画)」に関する講演も行われ、ヤマザキ動物看護大学の福山貴昭准教授や、ANICEの平井潤子理事長が、動物医療・行政・自治体間連携の課題を指摘しながら、飼い主としての防災意識向上を訴えた他、能登半島地震を踏まえた「能登の現場から 知っててほしいペット防災」など、法制度や社会課題に根差した講座も展開された。
次回開催は2026年4月2〜5日。会場の一部が改修に入ることから展示スペースは縮小予定だが、ビジネスデーの初日はペット同伴と即売行為を禁止する新方針も発表されており、より質の高いBtoBマッチングを目指していく。★
広い会場は、常に多くのペット同伴の来場者でにぎわい、盛況裡に幕を閉じた
月刊『国際商業』2025年06月号掲載