小林製薬の2024年12月期業績は、売上高が前年比4.5%減の1656億円、営業利益3.6%減の248億6000万円、経常利益1.7%減の268億6100万円、親会社株主に帰属する当期純利益50.5%減の100億6700万円と減収減益。純利益は紅麹関連製品の回収事案にかかわる費用を特損に計上したことで、上場以来初となる減益となった。
セグメント別にみると、国内事業では、お尻などのブツブツ治療薬「ヒプキュア」や、香りで気持ちを整えることを目指して調香した機能性芳香剤「Sawaday+ &Emotion(サワデーアンドエモーション)」、10大悪臭に効く香りでごまかさない無香料の消臭剤「消臭元ZERO(ゼロ)」、バリア機能の低下により繰り返す、顔の乾燥荒れや炎症などのトラブルを肌の奥から改善する乾燥荒れ治療薬「キュアレアドライ」など、春に15品目、秋に17品目を発売した新製品が売り上げに貢献。 また、訪日外国人数の増加に伴い、インバウンド需要も増加したことも売り上げを押し上げた。一方で、紅麹関連製品の自主回収の影響で、特にサプリメントを含む食品カテゴリーが苦戦し、ヘルスケアの売り上げは11.7%減の591億9400万円と減収。ただ、紅麹関連製品の自主回収を発表した2024年3月22日以降、国内は全製品の広告を停止している中でも、特に芳香消臭剤が牽引し、日用品の売り上げは2.2%増の501億6100万円と増収。カイロについては、今シーズンは気温低下により好調に推移したものの、昨シーズンの暖冬により返品が増えたため、売り上げは12.7%減の60億3900万円の減収、通販においては、定期購入の解約が増えた影響で売り上げは40.0%減の45億500万円の減収。これらの結果、売上高は9.2%減の1239億2400万円、セグメント利益は5.4%増の232億1700万円となった。
国際事業は、米国では、サプリメント・一般医薬品を販売しているFocus社を2023年10月に買収したことが通年で寄与したことに加え、為替がプラスに働き、売り上げは24.6%増の212億4600万円と増収。中国は、紅麹関連製品の自主回収を発表した24年3月22日から8月まで広告を停止していたことによる売り上げ不振の影響や、例年に比べインフルエンザなどの感染症が流行せず、熱さまシートが低調だったことにより、18.8%減の110億8200万円と減収。東南アジアは、主力の「熱さまシート」と「アンメルツ」が好調に推移したことに加え、為替がポジティブに働き、8.1%増の85億7500万円と増収。これらの結果、事業売上高は6.1%増の468億4100万円、セグメント利益は60.5%減の12億7200万円となった。
25年12月期通期業績は、売上高3.3%増の1710億円、営業利益43.7%減の140億円、経常利益43.0%減の153億円、親会社株主に帰属する当期純利益4.3%増の105億円を見込む。
退任する山根聡現社長に代わり、新社長に就任する豊田賀一国際本部本部長は、2月10日に開催した決算説明会の席上、「連続増益にこだわるあまり、将来に向けた必要な投資が後ろ倒しになっていた」とし、今後は品質と人材に特に投資を厚くしていくことを明らかにした。