小林製薬の2024年12月期第3四半期業績は、売上高は前年同期比3.9%減の1144億5900万円、営業利益12.4%減の169億7600万円、経常利益14.0%減の179億2100万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は65.5%減の53億4400万円と減収大幅減益となった。売り上げは国内で紅麹関連製品の回収や、広告中止の影響で既存品が97億円の減収となったことが影響した。
事業別では、国内事業では、お尻などのブツブツ治療薬「ヒプキュア」や、香りで気持ちを整えることを目指して調香した機能性芳香剤「Sawaday+ &Emotion(サワデーアンドエモーション)」、10大悪臭に効く香りでごまかさない無香料の消臭剤「消臭元ZERO(ゼロ)」や、バリア機能の低下により繰り返す、顔の乾燥荒れや炎症などのトラブルを肌の奥から改善する乾燥荒れ治療薬「キュアレアドライ」など、春に15品目、秋に17品目発売した新製品が売り上げに貢献した。また、訪日外国人数の増加に伴い、インバウンド需要も増加した。一方で、紅麹関連製品の自主回収の影響で、特にサプリメントを含む食品カテゴリーが苦戦し、ヘルスケアが減収。加えて、通販において定期購入の解約が増えた影響も売り上げを押し下げる要因となった。これらの結果、売上高8.7%減の863億9000万円、セグメント利益0.1%減の159億9500万円となった。
国内事業のカテゴリー別売り上げは、ヘルスケアが9.2%減の431億900万円、日用品が1.2%増の352億8000万円、カイロが46.7%減の13億6600万円、通販が34.9%減の36億9200万円だった。
国際事業は、米国で23年10月に買収したサプリメント・一般医薬品を販売しているFocus社の売り上げが貢献。中国では、紅麹関連製品の自主回収を発表した24年3月22日以降、広告を停止していたことによる売り上げ不振の影響をカバーできず減収。東南アジアは、主力の「熱さまシート」と「アンメルツ」が好調に推移した。その結果、売上高は7.8%増の319億2600万円、セグメント利益74.3%減の7億6000万円となった。
各地域別売り上げは、米国32.7%増の137億7400万円、中国18.5%減の75億3000万円、東南アジア5.1%増の62億8000万円、その他23.1%増の30億6400万円。
運送業、合成樹脂容器の製造販売、不動産管理、広告企画制作等を含むその他は、売上高10.1%減の46億8700万円、セグメント利益66.5%減の1億3600万円となった。
紅麹問題により取り下げていた24年12月期通期業績予想は、売上高2.6%減の1690億円、営業利益6.9%減の240億円、経常利益6.7%減の255億円と、24年8月8日に公表した数値を据え置いた。親会社株主に帰属する当期純利益は紅麹関連製品の回収事案の発生により、2024年12月期第1四半期で、製品回収関連損失36億4800万円、同事案に関連する製造設備の減損損失2億1300万円を、第2四半期においては、製品回収関連損失40億7700万円、製造設備の減損損失400万円を、第3四半期においては、新たに製品回収関連損失22億2100万円を、それぞれ特別損失として計上。これにより親会社株主に帰属する当期純利益の見通しは前回公表の121億円から107億円(前年比47.4%減)へと下方修正した。