小林製薬は11月1日、2022年12月期の第3四半期決算を発表した。連結売上高は前年同期比6.1%増の1142億7900万円、営業利益は同3.5%減の187億4900万円、経常利益は同2.8%減の204億3300万円、純利益は2.6%減の145億円と増収減益となった。売り上げは売上原価が約50億円、販管費が約30億円、それぞれ増加したことが利益を圧迫した。

国内事業では、耳鳴りに効く漢方薬「ナリピタン 当帰芍薬散錠(とうきしゃくやくさんじょう)」、BMIが高めの方の内臓脂肪を減らす機能性表示食品「ナイシヘルプ」、しつこいニオイをしっかり消臭しながら床の抗菌までしてくれるコンパクト消臭剤「トイレの消臭元 抗菌+」、目もと専用冷却アイマスク「熱さまシート ジェルでひんやりアイマスク」など、今年春に発売した新製品15品目が売り上げに貢献したほか、新型コロナウイルス感染症のオミクロン株の拡大に伴い、痛いのどのウイルスや菌を殺菌する「のどぬ~るスプレー」や冷感ツブ配合の貼るタイプの冷却シート「熱さまシート」などの需要が高まった。また、第1四半期の冬の気温が低下したことで、「桐灰カイロ はる」などのカイロの販売が好調に推移した。

一方、外出自粛や飲み会の減少等により、ニオイのもとから息をリフレッシュする口中清涼剤「ブレスケア」などの需要が昨年に引き続き低迷した。その結果、国内事業の売上高は同2.2%増の877億7300万円、セグメント利益は同8.6%減の163億7800万円となった。

国内事業のうちカテゴリー別の売上高は、ヘルスケアが2.8%増の400億9200万円、日用品が0.2%減の356億6600万円、スキンケアが7.0%減の49億2900万円、カイロが42.6%増の24億1400万円だった。

国際事業では、米国・中国・東南アジアを中心に、カイロや額用冷却シート「熱さまシート」、外用消炎鎮痛剤「アンメルツ」などを販売しており、広告や販売促進などを積極的に投資することで、売上拡大を図った。米国・中国・東南アジアの主要な事業エリアでは為替がプラスに作用し、各地域の売上高は増収となった。

米国では、2020年に買収したOTC医薬品メーカーAlva社において、サプライチェーンの混乱により原料供給が滞り、第1四半期を中心に一部製品で欠品が発生し、医薬品が伸び悩んだ一方で、コロナ禍で発熱対策としての習慣がついてきたことと、脱マスクの流れが加速したことでインフルエンザの罹患者数が増加し、「熱さまシート」が好調に推移。同国の売上高は16.7%増の91億9300万円となった。

中国では3月以降、各都市で新型コロナウイルス感染症の拡大によるロックダウンが実施され、物流網がストップし、製品出荷が一時的に滞った。5月以降、徐々に物流の問題は回復に向かったが、その後も各地でロックダウンが断続的に続いたことにより、需要が低迷した。為替の影響で売上高は15.8%増の78億4200万円の増収だった。

東南アジアでは、新型コロナウイルスの他、インフルエンザやデング熱など各種感染症の罹患者が増加し、発熱対策として「熱さまシート」の需要が高まったこともあり、売上高は101.4%増の52億100万円となった。

これらの結果、国際事業の売上高は同30.0%増の260億2500万円、セグメント利益は同152.3% 増の17億3100万円となった。

栄養補助食品、スキンケア製品等の通信販売を行う通販事業は、広告やダイレクトメールを中心とした販売促進による新規顧客の開拓と既存顧客への購入促進に努めたものの、売上高は同5.2%減の62億8700万円、セグメント利益は同11.6%減の1億9600万円と減収減益だった。

22年12月期の連結業績予想は、売上高は前期比4.3%増の1620億円、営業利益は同3.6%増の270億円、経常利益は同0.7%増の282億円、純利益が同2.5%増の202億円と期初予想を据え置いた。