ペットフード協会は2024年12月23日に記者発表会を実施。2024年全国犬猫飼育実態調査結果、2023年度ペットフード産業実態調査結果についてそれぞれ解説した。
2024年全国犬猫飼育実態調査結果では、大きく五つのトピックスを取り上げた。
まずは、犬猫それぞれの飼育頭数の推移について。犬は約679万6000頭、猫は約915万5000頭となった。犬に関しては、世帯飼育率は下がったものの、飼育頭数の下げ幅は縮小し、下げ止まりが見て取れる。猫は飼育率もほぼ横ばい、飼育頭数も22年から微増が続いている。
二つ目のトピックスは、飼育支援商品・サービスの浸透の課題だ。世帯構成別飼育支援商品・サービスを見てみると、犬・猫それぞれの飼育者がともに飼育支援サービスの利用率が低いことが明らかになった。最も認知率、利用率が高いのはペット保険で、犬飼育者の73.0%が認知、36.4%が利用している。猫飼育者においては、71.9%が認知、17.4%が利用という結果になった。ペットホテル・セカンドハウス、ペットのしつけ・トレーニング、ペット用見守りカメラ、ペット用自動給餌器は飼育者の負担を軽減し、飼育意向者の意向を高める商品・サービスであるだけに、これらの認知拡大は今後のペット市場拡大においては必須だろう。
三つ目が飼育効用として、感情面での効用は特に感じられやすいということだ。犬猫飼育者の回答を見ると、ペット飼育の効用として「毎日の生活が楽しくなった」「心穏やかに過ごせる日が増えた」「気持ちが明るくなった」が上位三つとなっており、物理的な飼育効用よりも感情面での効用の方がより感じられていることがわかる。
四つ目が、犬猫飼育者の防災意識について。普段の飼育の延長でできる対策(リード・ハーネスの用意、トイレ用品の用意、ペットフードの備蓄、キャリーバッグ・ケージなどの用意)は犬で3割以上、猫はリード・ハーネスの用意以外4割程度の実施率となった。一方で、しつけや情報取集に関する対策は不十分な実情が浮き彫りになった。また、「同行避難」(ペットと一緒に避難できる)と「同伴避難」(ペットと人が同じ避難スペースで過ごせる)の違いを理解している人は約6割、一方で、最寄りの同行避難ができる避難所を知っている人は2割未満となっていた。
これを受け、記者発表会では「家族とペットの災害対策」と題してNPO法人アナイスの平井潤子理事長が講演。24年に起こった能登半島地震・豪雨災害を例としながら、災害対策の見直しの重要性を語った。
最後に、五つ目のトピックスとして、年々経済的理由でペット飼育のハードルが高くなっている現状が挙げられた。犬猫ともに飼育の阻害要因として「お金がかかる」「ペットの価格が高い」というスコアが上昇傾向にある。また、犬猫飼育者ともに、1年以内飼育開始者の入手価格をみると、低価格で入手する人が減り、無償入手する人が増えているという傾向も明らかにされた。